自己を実現する
ここ最近は地球と社会、そして意識世界について書いている。それらは順にボディ、マインド、ソウルだ。まだ少しだけ続けておこう。この関係性を知ることであらゆる不幸を脱し、そして人生に自在性を獲得することができる。
肉体
肉体は地球の一部分であるので、地球の循環に即している必要がある。それが肉体的な健康となる。
食べ物も水も空気も気候も、それらは人間の活動のためにあるというよりも地球のライフサイクルの表れなのであり、五感で感じるものすべて、つまり心地良い肌触りや美しさを感じる風景、リラックスさせてくれる音や香りなども、その全体的な包括が地球そのものであるということだ。
思考でどんなに良いイメージを浮かべようとも、肉体が地球と分離されていてはリラックスは起こらない。それは病気などで療養中であるならば尚のことだ。そもそも思考は肉体のなかにある。ゆえに肉体を地球に同調させることが第一となる。リラックスは思考の外側からやってくるのだ。
本能
しかし地球の活動というのは「人間の都合」を考慮しない。今日は傘を持ってきてないからという願いも虚しく大雨が降る。天変地異やら災害やらもそうだ。容赦なく生物の命を奪い去っていく。
それは社会で生きる私たちからすれば脅威に映る。こちらのルールからすれば、その活動はとても暴力的であり、無慈悲なものにみえる。親密な人間関係で「相手を無視する」というのは罪であるが、自然はあなたを徹底的に無視する。「願い事が叶いますように」なんて捧げたところで聞いてすらいない。
だからいくら肉体が地球由来のものであり、豊かな大地の恵みで癒されたとしても、精神までもが地球と同化してしまうと、社会から除け者にされてしまうということになる。
もちろんそうした「本能行為に動く人間を封じるため」に、社会が生み出されたからだ。つまり反自然が社会であるのだから、自然に従うと当然ながら反社会となる。
罪
前にも話したけども、そうした地球の欲動をどうやって封じたかといえば、相手を意図的に無視したり傷付けたりしたときに「心にしこりが残る」ように常識を作ったのだ。生まれながらにそういうルールにあれば、本人はそれが後付けのルールとは思わず、その掟に縛られて生きていくという寸法となる。
本書が言う「誰もが野球をしているがそれに気づいていない」というやつだね。
その本来の目的は地球に同化して、精神を失い(我を失い)、災いを齎す人間を封じるためであったのだけども、それは結果的に「他人と同じでなければならない」という風潮が生まれ、成功や失敗の概念が作り出されるようになる。
また自分の心にルールが根付いているものだから、ルールの緩んだ生き方をする他人を糾弾するようになる。「自分はこんなにやってるのに」とか「あいつは生まれながらに楽をしてる」などの比較心理に繋がり、そこから惨めさ=不幸に包まれるようになる。
だからみんな必死なのだ。自分が奈落に落ちないようね。「私は他者を優先している」なんて人の多くは結局自分の保身が根底にあったりするわけで、そういうセリフを吐いてる時点で、ルールの息苦しさのなかで足掻いていることがわかる。
人間界
肉体は地球とは切り離せないのだけども、精神も同化してしまうと野生動物と変わらなくなる。じゃあ私たちは本当は動物であるのに、そこから社会という幻想を背負って、「人間は高尚な存在」とか言って誤魔化しているだけなのか。
それは正しくもあり間違いでもある。まず野生の動物がなぜ地球と同化し本能のままに生きているのかといえば、それは無意識に生きているからだ。動物は自己(セルフ)という意識性を持っていない。だが私たち人間は「自己を獲得する」ことができる。
自己の忘却
だがここで問題がある。
自己ってなんだ?という人間が多くいるということだ。彼らにとって、生まれながらに自分を包んでいる社会とは、野生生物でいうところの大自然であり、社会に流されて生きることが当たり前となっている。
社会的に成功することが幸福であり、周囲に足並みを合わせて生きていくことが絶対条件にある。だがそれは「社会が生きている」のであり、「自分自身がどこにもいない」ということにあるのだ。
生まれながらに付けられた名前や容姿、性別、国籍、家庭環境が、自分という基礎であり「この資格を持っていれば有利となる」とか、「以前テレビで熱をあげたアイドルに似ているからこの人が好きだ」とか、「優しいとは、これこれこういうことであるからこの人は優しいのだ」とか、何もかもが野球ゲームのプレイ内容でしかない。
その様子は本能のままに生きている動物たちと変わらない。周囲を比較して不幸を背負わないだけ、彼らのほうが遥かに良いといえる。彼らには不幸がないのだからね。
地獄に堕ちる
中には反社会的な衝動に突き動かされることに「自己を感じた」なんて言う人もいるが、それは完全に間違えている。それは人間界から見て、動物界という低次に落ちただけのことだ。もちろん審判はやってくる。
仏教では地獄の概念があるけども、そこは動物界(本能の世界)のことであり、つまり「心のない世界(地球本来の活動の様子)」を表現している。動物が不幸ということではなく、彼らには「不幸と思う心がない」のだ。心ある私たちからすれば、この一文は「動物には心がないのか」と読んでしまうけどもそうではない。幸福や不幸という概念をそもそも持ち合わせていないのだよ。彼らはあるがままなのだ。
だからなぜ「地獄」であると感じるのかといえば「心を持った人間として」それをみているからである。心を捨てきることはできない。その抵抗があるから誰もが苦しむのだ。
心とは社会のことであり、その反社会的な光景は地獄と映る。ゆえに反社会的な衝動に動かされて「自己を感じた」というのは重度の無意識性でしかなく、ただ酔っ払って自制心が捨てられていただけに過ぎない。
やがて社会的な立ち位置に心が戻ってきたときに、自らの罪に悩まされるようになる。その「事後的な様子」こそが、仏教でいう地獄を意味するものとなる。罪はその時点では何もないが、罰されるときに罪は重さを持つのだ。
「いっそ感情なんてなくなったら楽になれるのに」と考えてはならないよ。そうではなく、感情を支配することだ。それが高次に昇ることであるのだよ。
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