幸せに不要なもの

カフェですぐ隣の席の
若い女性2人の会話が聴こえていた

どうやら失恋話のようで
片方があまりに感情的に騒いでいたので
店中に響き渡っていた

──

なんで彼が私を捨てたのか
その理由が知りたい

すると友人は言った

はいはい、そうやって引き摺らない
もう忘れて次を探そうよ

それに理由なんて
みつからないことのほうが多いんだから

──

この友人の言う通りだね
理由なんてみつからないほうが多い

いやたしかに
失恋したり物事がうまくいかなかったり
そうして落ち込んだときは誰でも
どんな慰めでもみつけたいものだし

そして何でもいいから
少しでも説明のつく理由を聞きたいのだろう

だから友人のアドバイスに対して
失恋した女性は
なんだか冷酷さを感じている様子だった

だけどもこの友人は
そうして理由をみつけてそこに安らいでしまい
また悲しくなったり不安になったら
結局同じ安堵を求めてだすこと

同じダメな男に引っかかって
同じ世界を繰り返すこと

つまり新しい世界を作り出せないこと
心配してるんだ

 

1

その意味で
友人はもうひとつ大事なことを伝え忘れている

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