幸せに生きていくために(後編)

前編からの続きとなる。

いま人類はどのような共同幻想を作り出しているのかということだね。人々は不幸になりたくてなっているわけではない。「なぜかそうなっている」のだけども、それを解明していこう。

まずあなたの正体(意識の正体)について簡単に復習しておく必要がある。

7.

この世は仮象(言葉の世界)であり、話してきたように「エネルギーの動きだけ」がある。つまり常に動いているわけだが、その動きが仮象に「同一化すること」が自己意識の正体となる。

つまり幻想がなければ、あなたは存在しない。それはわかるね、その肉体がなければあなたは「自分の体」を持つことができない。覚えてきた知識や常識がなければ、あなたは「自分の精神」を持つことができない。

言いかえれば、体も精神も、そもそもそれは「あなたではない」ということだ。

つまり「何かに自己同一化すること」、幻との同一性が「あなた」なのであり、つまりあなたの意識とは「その時々に生まれる」ということである。

8.

四六時中、あなたはその体を「自分」だと思っているわけではないだろう。たとえば人体には200箇所以上の骨、100箇所以上の関節がある。また400箇所にも渡る骨格筋がある。歩いているとき、そのすべてが互いに連携して可能となるわけだが、常にそれらに自己同一化しているわけではない。

むしろ手足の動きよりも周囲の光景と「ひとつ」になっているはずだ。過ぎていく光景にあなたは自分を投影する。つまり意識上には周囲の光景だけが現れている。これが同一化であり、そしてこのように意識上に浮かばれるものが「自分」なのである。

だから「自分」は常に移り変わっていく。

あるときは熱いものに触れてしまった指先であり、あるときは目にした美しい異性の姿であり、あるときは熱中しているテレビゲームのキャラクターとなる。もちろん将来に不安を感じているときは、その不安感が「自分」となる。

だから人間とは刻々と変化するもの、つまり「時間的な存在である」といえる。

9.

人間が時間的存在だというのは、音楽を聴いているときがよい参考となる。

たとえばあるメロディが流れて、それが「いまこの瞬間」に一連のメロディであると知っているためには、それまで流れていた音との同一化が前提にある。

Cの音は、キーがCメジャーでは明るい音だが、Cマイナーでは悲しい音になる。どうしていまそこにある音が明るい音か悲しい音なのかを知っているのかということだ。

また映画のフィルムでも同様に、ある主人公の悲しげな表情を一時静止したとき、もしその前後に、失恋のシーンがあるときと、おいしそうな食べ物があるときでは、その悲しげな表情の意味が変わってくる。

これらは刻々と自己同一化をしているという証明であるわけだが、どうして時間的であるのかといえば、それはもちろんこの幻想世界の背後にあるものが「動き続けているから」である。

意識はその「一なるエネルギー」が出自であり、つまり「自らの意識のなか」に幻想を同一化させているのだ。幻想のほうが浮かんでいるものであることを忘れてはならない。

そしてその「同一化した”結果”」を自己意識と呼ぶ。

だから上でも話したように幻想がなければ「自己」は存在しない。「一なるエネルギー(大いなる意識)」のある一部分が、その内に浮かべた幻想に同一化することで、そこに自己意識(あなた)が生ずるのである。

だから「何に同一化して自己意識を作っているか」が、あなたの現実であり、つまりあなた自身となる。

すなわち「あなたが現実」なのだ。他の人々の存在や日々の出来事、どこかの異国のニュースさえも「体験している世界のすべて」があなたなのだよ。

10.

さてこのように「意識のスペース」がいかに重要であるがわかるだろう。それは誰にも侵略されないあなただけの王国であり、創造性の場であり、そしてなによりの拠り所であるのだからね。

ところが科学の発展とともに、少々面倒な時代になってきている。それは欲にまみれた人間世界が、そうした「個々の意識」を市場化することに気づき始めたからだ。

つまり不可侵であるはずの王国が、他者に土足で踏み入れられるようになってしまっている。そしてそれを許しているのは、他でもないあなた自身なのである。

現在の資本主義はいかに流行を作り出すかに着眼している。つまり何が売れるのかを探すのではなく、ニーズそのものを作り出そうとする。人々に需要と同時に「欲望」をも作り出すということだ。

それにはいくつかの方法があるけども、たとえば「すでにあるものを古くて流行遅れなもの」として、人々に嫌悪感を抱かせることなんかがそうだ。

どうしてあなたは「あれはださい」とか「あれは嫌いだ」と思うのだろう? それは本当にあなたの意見なのだろうか。実は人々の意識の動向の大部分は各々のものではなく、企業の行き過ぎたマーケティングや人々の意識空間までも踏み込んだロジスティクスによるものだ。

それはつまり人々の潜在意識を操作するということであり、以前の手記でも話したように、それをいじられてしまうと、人は気づかぬうちにその世界を歩み、その世界の言葉を話し、その世界の感情や思考を使っているようになる。

11.

ではどうしてそんなにいとも簡単に人は潜在意識を解放してしまうのか。

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