ゼロ空間を知り現実という習慣を変える(前編)

「私の目の前にコップがある」これを口にした時点で真実は遠くに置き去りにされている。なぜなら私もコップも「それ」を察知してから、あとで付け加えられたものだからだ。つまり「私がコップを見ている」などとは想像でしかない。人々はそうしたありもしない妄想の世界で苦しんでいる。今回はこの話をテーマに進めていこう。

現実を観察する

現実はいまそこにある通りだ。それ以外ではない。自分の知っている通りにある。だがこの「自分の知っている通り」というところに現実を変えるヒントがある。あなたの知っているもの、つまり「記憶」が目の前に引き出されているだけだからだ。

たとえば朝、目が覚めてまだ頭が虚ろなとき、どこからか犬の吠え声が聞こえている。あなたは記憶を引き出しはじめる。「これは犬の吠え声だ」「隣の部屋からだ」「そうだ、私の飼い犬の声だ」そうしてあなたは「自分の家の、別の部屋で騒いでるワンコ」を自分の現実として浮かびあげる。こうした一連のプロセスが連続することであなたの日常が広がっていく。

いま目の前に広がっている世界が、なんの不思議もないものだとあなたは知っている。なぜそう感じているのかといえば、自分の記憶をそこに繰り返しているだけだからだ。だからすべて「知っている通りの現実」となる。家族や街、さらには人間の形状にいたるまで、あなたの”知った通りの世界”が意識上に読み出されているだけなのだ。

現実とは習慣によるもの

ここで注意しておくべきポイントが2つある。記憶は「過去という箱」から引き出されてくるが、その過去というのは時間的に遡ったところにあるのではないということ、そしてワンコの声が”聴こえている時点”ですでに記憶再生のドミノは始まっていたということだ。つまり犬の声がなんであるかと考えるまえに、それを「犬の声だ」と受け取っているところから、もっといえば「音」を感じているところからプログラムはスタートしていたということだ。

こうした現実の謎を解き明かす上でまず理解しなければならないのは「時間は経過していない」ということだ。

私たちは過去から未来に進んでいくのではなく、まして世界が未来から過去に流れているのでもない。「現在から別の現在」に移動を続けているだけであり、それは同じ場所で運動を続けているだけだということだ。

そして「過去という箱」というのは、その同じ場所で繰り返し続けられていることの残像のようなもの、つまり焼きついたフィルム、スピリチュアルな用語ならば「潜在意識」というものになる。

つまりあなたがいま「過去という箱」から素材を引き出すことで、あなた自身がそこに「現実」を見ているだけであり、思い出という”過去”も「現在」に展開されるだけである。すべては「常にいま起きていること」だということだ。

だから変わらない日常とは同じ記憶をそこにリピート再生させているだけに過ぎない。ゆえに現実を新たなものにするためには、違う記憶を引き出して展開する必要がある。つまり現実とは「記憶の習慣性」のことであり、別の習慣を採用することで、以後は「別の現在」が繰り返し起こるようになる。

新しい習慣が人生をかえる

先に現実変更のプロセスを書いておこう。

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