これからの時代を生きていく準備(1)
自殺やら暴露やら、相変わらず重苦しいニュースが流れている。すべてに共通するのは「恨みの感情」だ。最近の書店での売れ筋は、ネガティブな感情に同調するようなもので溢れている。
あなたはどうだろうか。こんな社会でこの先どうやって生きいけばいいのか、何を頼りにすればいいのかと不安になって部屋の隅で怯えていないだろうか。または他人や自分の人生を呪ったりしていないだろうか。
富める者とは貧しき者
さて、世界はあなたのイメージでできている。ゆえに自分が望むイメージの世界を生きようとすることで、その世界を生きられるようになる。こんな話をすると「じゃあ金持ちになれると思えばそうなれるのか? 結婚できると思えばそうなるのか?」と質問がされるが、そうだ。「根源的に」そうなる。
たとえば金持ちになれる世界を生きようとするとき、金持ちになりたいという願望が消える。つまり世界に対して抱えている心の貧しさが消える。その「豊かさ」はこれまで体験し得ることのなかった新たな現実を起こしていく。それが結果として、当初描いていた「金持ちになればこういう幸せを掴めるだろう」の「幸せの部分」を掴むようになる。
「金持ちになりたい」という願いを叶えるというのは、裏を返せば、金持ちになろうという発想が浮かばないようになるということだ。金持ちとはお金を気にせず欲しいものが不自由なく購入できるという「気軽さ」であるのだけども、心が満たされて欲しいものがないいま、出費を気にする必要がない。お金に対して気楽な姿勢にある。つまり金持ちになったということだ。これがくだらない話に聞こえるなら、あなたはこの世の本質をつかめていない。
金持ちが欲望に駆られれば、瞬時にして貧しき者に転落する。だが何も持とうとしない者(真の貧しき者)は金持ちよりも富める者となる。
ジレンマ
しかしこうした「教義」は言葉にすれば簡単に聞こえるが、実際は実行に移すのは難しい。なぜならどれだけ前向きになろうとも、それは頭に浮かべている間だけのことであり、すぐに苦しい日常生活の「反応」にかき消されてしまうからだ。
「お金を気にする必要はない」といいながら、カードの請求額に震えている。そうした反応的な生き方をしている限り「望みの世界を生きよう」なんて思いはただの絵空事でしかない。支払いに追われ、あてにしていた収入は誰かのせいで破綻し、怒りや憎しみ、不安と焦りのなかであたふたしていて、どうやってその真逆の世界を歩めると言えるのだろうか。
そこでスピリチュアルや宗教では「反応を超えろ(無意識な生き方をやめろ)」と喝を入れられる。己の心を観照し続けてその闇に光を照らせとね。
だがこれは苦悩から脱したい者にとって「不感症になれ」という話に聞こえてしまう。ゆえに誰もが鉄壁の心を育てようとする。顔にハエが止まろうが無視できるようになろうとする。しかし「もっと強烈な相手」が現れれば、その努力は虚しく崩れ去ってしまうだろう。
天国はあなたを中心に広がる
このような「不感症修行」は、結局は俗世から離れなければ成立しないのだ。つまり逃げ続けなければならなくなる。だが古来より伝えられる真理とはそんなことを言っているのだろうか? 無表情な人々が集まる隔離された精神施設に放り込まれることが奥義皆伝なのだろうか。
そうではない。地獄から抜け出ようとするのではなく、地獄のなかで天国を見出すことにあるのだ。荒れた大地に色鮮やかな花々を咲かせること、不感症ではなく逆にオルガズムに溢れ続けること、つまり「最初から地獄などなかった」と喝破できることにあるのだ。
だから言ってみれば「現実が気にならなければ」なんだっていいのだよ。そこに重苦しいものを作り出していることにその重さの原因があるのだから。ゆえに不感症にならなくとも、いくらでも方法はある。別の楽しいことで重さから目をそらすこともひとつの手段だ。実際あなたもその手をよく使うだろう。
ただそのやり方はいつも不安が隣り合わせにきてしまう。常に探し続けなければならないからだ。地獄のなかで「天国」と書かれたロウソクに火をつけて束の間の安らぎを感じるだけのものでしかない。
地獄をもっと深く観察すること
そこで私としては、現状の重さがそもそも何であるのかを知ること、つまりことの発端を理解することで、日常で絶え間なく起こる「無知ゆえの自動反応(信念)」に気づき、自主的にそれを停止させる意志を持つことを勧めている。
自分が自動反応に生きている(生かされている)ということに気づかない限り、それを停止させるという「発想」すらも浮かぶことはない。だから現実の正体を知ることが、そのまま意識的に在り続けることに繋がるのだ。
実際私がいまなぜ、何の苦悩も背負っていないのか、私にとってあれだけの地獄のようだった日々が解決に追われるだけじゃ何も変わらず、何がきっかけで現実がひっくり返るようになったのか、その鍵をあなたにも掴んでいただきたい。
黒い渦
今回タイトルにした「これからの時代を生きていく準備」というのは、食糧難に備えて食べ物の備蓄をするという話ではなく、これまで抱えている苦悩の根源がなんであるのかを知り、自らその苦悩を生み出さない生き方、つまり「悪癖に気づいて治す」ということにある。
格差社会、貧困、人間関係の不和、様々なネガティブが渦巻いているけども、それは何も知らずにそこに飛び込んでいるからなのだ。「知っている者」は同じ光景のなかを歩いていても、まるでネガティブを感じない。だから今回の連載は「知ること」がベースだ。
これから社会の黒い渦はさらに加速していくだろう。それだけ無意識に生きている人々が増えてきたということだ。ナチスが政権を取っていた頃と変わらず、また大きなショックがなければ誰も目を覚ますことができない。人類は同じ失敗を繰り返しそうな傾向にある。
だからそうした世間に巻き込まれぬよう、つまり反応で生きず自らの世界の創造に没頭できるように覚醒していなければならない。自らに光を灯さなければならない。今回は人間という存在や、お金や働き方といった社会との関わり方など、いくつかの小項目を並べていくから、そこから人生の基礎を立て直す術を見出すといいだろう。
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