キラキラした光のなかで

すべてが幻であるなら
その幻と言っている「こと」も幻である

この文をよく感じてみるといい
どこか変なところに到達しないかね

「すべては幻である」だけだと
あなたは幻を見ていることになる

だが「そう言っていることも幻である」
と気づくとき
あなたは世界とともに消える

さて「幻だということが幻」
これが般若心経で書かれていることだ

般若心経はまず
五感で察するものや心で浮かぶもの
それらは幻だという

肉体的な痛みも
精神的な苦しみも
全部幻だとね

次に仏教で教えられてきたことさえも
すべて幻だという

物事を正しく見れば
苦しみから逃れられるだとか
煩悩をなくせば苦が消滅するだとか

そんなもんは嘘っぱちだ
ありもしない幻想だと
仏教そのものを完全に否定する

仏教の経典であるにもかかわらずだ

前半は「現実が幻だ」というから
「なるほどそれで苦から解放されるのか」
誰もがそう思う

だが解放されることも
ありもしない幻だってのは
どういうことなのか

それじゃ解放されないということなのか?

そのように否定に次ぐ否定を続け
現実の体験のすべてが
幻であることを告げていく

じゃあいま手にしている書物に
書いていることも幻ではないのか?
これはなんだというのか?
どこに「正解」があるのか?

よくある哲学問答だ

嘘つきが「自分は嘘つきだ」という
じゃあ彼は本当のことを言ってるのか?
でもそれだと嘘になってしまう
彼は嘘つきなのかそうではないのか

それと同じパラドックスに行き着くわけだが
その返答を誤魔化すかのように
怪しい呪文を最後に残して
ふっと消え去ってしまう

それまではやたらと詳細に
現実を否定し続けて
しかも苦しみから逃れる術でさえも
ありはしないなど言っていたのに

「この術を唱えたら大丈夫だ」という
矛盾しまくりな結末で突然終わる

それが般若心経だ

教祖である釈迦の教えを完全否定し
読者を混乱させたあげくに
最後はうやむやにして消えていく

このたちの悪いジョークが
2000年もの歴史のなかで
人々が熱心に唱えてきた内容となる

 

1.

ところで釈迦は
なにを伝えたかったのだろう?

苦は執着によるもの?
煩悩を捨てたら幸せになれる?
良い心を持てば良いことが起こる?

本当にそんなことを
言おうとしていたのだろうか?
それがこの人類で最も稀有な存在が
見出した衝撃的な教えなのか?

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