誰もわかってくれない

夫婦や親子、友人でも
誰かと口論になるとき
あなたはもどかしい気分になるだろう

それはもちろん
相手の「聞き分けのなさ」が発端だけども
ところが自分の話を理解させようとするほど
相手はそれを聞き入れない態度をみせる

そうして「なんでわかってくれないの?」となる

相手への苛立ちだけでなく
自分は宇宙から切り離されたような
寂しい孤立感に襲われる

 

もどかしさの正体

だがここであなたは
大きな誤ちをしているんだ

それは相手もあなたと同じで
知っていることは知っているが
知らないことは知らないからにある

より正しくいえば
「知らないことを己は知らないんだ」とさえ
人は知らないでいる

単に「知らない」と述べられるものは
それを知らないことを”知ってる”が
本当に知らないものは知らないことすら知らない

それは己の意識世界に
はじめから存在していないからだ

これはよく話すように

忘れ物をしているのを忘れているかぎり
忘れ物がその人に存在しないのと同じ

忘れっぽい人は
自分が忘れっぽいことさえ忘れているわけだね

あなたは自分がそうであるこの人間の原理が
相手もまったく同じであることに気づいていない

言いかえれば
自分の知らないことを
知らないままでいるという己自身に
まるで注意が向けられていないのであって
それがあなたの誤ちにある

そしてこのパラドクスこそ
口論のときのもどかしさの本当の原因にある

 

わかっていないのは誰?

つまりどんなに相手を説得しようにも
あなたの頭にある意図からは
かけ離れた内容として相手は解釈をする

そして相手はそのかけ離れた解釈において
自論を組み立てて返してくる

だから
お互いに違うところを向いて戦っている様子
あるわけで
そんないつまでも決着がつかない不毛な戦いゆえ
心も体も疲れ果てているんだ

そしてこれは言い争いにかぎらず
職場や街の通行人から店員に至るまで
人生で出会う人たちとのすべての交流が同じにある

勤務先や意中の相手とのやり取り
また店員に感じられた自分への扱いにしても
誰もがあなたと違う方向を顔を向けて関わっている

あなたは
「誰も私のことなんかわかってくれない」と
悲しい気分になるときがあるけども

しかしそれは
誰もわかってくれないのではなく
あなたが誰をもわかっていないんだ

 

“知る”の本当の意味

だがこうして「誰もがそう」なのだと
あなたが理解したとき

誰もあなたをわかってないことなど
“なかった”のだとわかるだろう

つまりあなたが誰をもわからない限り
あなたも誰からもわかってもらえてない気分を
味わい続けるが

しかしあなたがわかれば
みんながあなたをわかっている世界
(あなたをわかっていないわけじゃない世界)で
あなたは暮らしはじめる

ここにこそ「真の相互理解」があるわけで
たとえ意見(=見かけ)が異なっていても

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