ずっと流れ続けているもの
殺伐とした世界にうんざりしてるだろう
「もうこんな世界いやだ」とね
どいつもこいつもいがみ合ってるから
自分もしかめっ面をしなきゃならない
まったく一息つく暇もない
もしこんなのじゃなかったら
働くことや生活をしていくことも
のびのびと楽しめるっていうのに
だからみんなが仲良く助け合うような
そんな愛で満ちた世界を
あなたはご希望しているわけだ
そこで宗教やスピリチュアルでは
「自分からそのようにあれ」と言われる
だがそれを鵜呑みにして
「じゃあ皆を愛そう」としても
それは自己欺瞞でしかならず
とんでもない苦行に放り出されることになる
愛とはそういうことではないのだよ
あなたの望む
「みんなが共存した平和な世界」とは
いまあなたの考えているものではないのだ
だが一度その境地に到達すれば
この世の一切の苦悩は消え去り
そしてあなたは自由に
生きることができるようになる
今回は現実の苦しみを抜けて
そして真ある愛に世界が照らされるとは
いったいどういうことなのか
それについて進めていこう
鍵となるのは「自分」の存在である
1.世界は動き続けている
1日の活動をしている間
ずっと「自分」がいるわけではない
なぜなら自分が出現するのは
「自分について考えだしたとき」
だけだからだ
あなたはそれに気付いているかな?
もし気付いているなら
妙だと思わないかね
自分がいないことを
誰が気付いているというのだろう?
つまり「考えている者」の正体は
「自分」ではないのだ
考えている者が自分について考えるとき
「自分」がそこに出現する
つまり自分は実在のものではなく
考えられている「対象」でしかないのだ
たとえばあなたはいま
この文章を読んでいるのだけども
最初のしばらくは自分を
浮かべていなかったのではないかな
つまり誰もいないのに
文章が読まれていたわけだ
そのように行為している自分が存在せず
世界だけが流れている様子を
「あるがまま」という
集中しているときなんかもそう
いわゆるフローだとかゾーンとか
時間を忘れて没頭しているときは
「自分」が浮かぶ間がなく
ただ物事が流れている状態にある
純粋に物事を楽しめているし
勉強や仕事もどんどん捗っていく
好きな人と過ごしている時間も充実する
なぜかといえばそこにある勉強や仕事、
恋人などは「対象」ではないからだ
対象でないゆえに
その起点である自分が想起されていない
ただ流れる世界とひとつになっている
それが勉学ならば勉学があなたであり
勉学をしている「自分」はおらず
「勉学されていること」があなたなのである
だからいってみれば「自分」の存在とは
拒絶の表明であるのだ
自分が存在する限り
すべてがスマートではなくなる
勉強にしろ求職活動にしろ
異性に声をかけるにしろ
重い荷物を背負ってトライしなきゃならなくなる
自分を意識して何かをやるというのは
ブレーキを踏みながら
アクセルを踏んでるようなものだ
ここでいう「自分」とは
対象からの対象性(鏡の反射)により
生まれた虚像のことであり
それは物事が流れることにおいて
余計な障壁でしかない
好きな人の仕草に一喜一憂し
その動きに操られている影でしかない
逆に自分がおらず世界がただそこにあるとき
あなたの眺める光景のなかで
すべては為されるがままとなる
まるで手抜きのお役所仕事だ
書類に目も通さず「許可」のハンコを
バンバン押していく
つまりあなたが「それ」であるのに
どうしてそれを受け入れられないことが
あるのだろう?
テレビの画面に流れている光景に
どうして介入できるのだろう?
映像は「流れるまま」なのだ
そのように世界はすべて許されて
「完全」となる
それが自分のいない世界
自分が最も恐れているもの
すなわち死のことだ
2.何もいない
自分の出現について
もうすこし話してみよう
あるがままの世界を眺めているとき
ふと何かに注意が向かう
注意が向くということは
肯定であれ否定であれ
あるがままのそれを
「認めていない」ということだ
全体の流れのなかで
その対象物だけを切り出している
「これはこういうものだな」とか
「これはどういうことなのだろう」とか
その注意が向けられて
全体から切り出されたものを「他者」という
対象のことだ
つまりその時点ですでに「自分」がいる
対象物について考えている自分が
「考えられて」いる
自分が「いる」からその対象がある
自他はそれでワンセットだということだ
だから何かに執着するとき
それが重かろうが軽かろうが
必ず「自分」という荷物を背負う
つまりありもしない幻想同士で
互いを映しあっているような
奇妙な光景といえる
合わせ鏡の真ん中には
「何もいない」のだからね
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