温もりは「非売品」

さて今日も世間に打ちのめされてきたね

優しくない人が多いし
こないだ優しいと思っていた人は
今日はなんだか嫌な感じだった

自分はこれだけ頑張ってるのに
誰も褒めてれない

せめて気の利いた一声だけでも
かけてくれたら
元気になれるのに

まあそんな感じで
今日も人の優しさを求めていたわけだ

だが残念だけども
この世に優しさを求めることはできない
それはあなたの思っているような
ものではないからだ

以前は私も同じ勘違いをしていた
ずっと”優しさ”を探していた
見つからないから世間に対して
たくさんの悪態をついてきたものだ

だがいまでさえ
そんなものはどこにもない

つまり「ないもの」を
見つけようとしていたからこそ
苦しんでいたことになる

おかげで数々の病気を患うことになり
またたくさんの「いま」を失い
暗雲に覆われた世界をさまよい続けていた

だがそんな当時の私は
優しさや幸せや愛や神といったものが
いつか目の前に現れてこの暗く澱んだ世界を
明るく照らしてくれるものだと信じていた

しかしこの世の”実態”は
生物の世界を見渡せばわかる

たとえば動物に優しい一面があるというのは
人間側での恣意的な見方(観念)にすぎない

もともとはこの宇宙の全体的な運動
その根底にあるのだけども
“私たちの目”には
よく知っているこの世界の姿として映っている

その観点でいうならば
動物たちが餌を分け合ったりするのは
「種の保存のため」であり
彼らは単体では存続できないことを
知っているからだ

複数で「ひとつの姿」としてあるわけで
当然こうした相互補助の表象の背後には
全体の流れ(大いなる流れ)があるからだ

つまり互いにフォローし合っているだけで
動物たちに「優しさ」という感情が
あるわけではない

だから優しさと全体運動を
うまく捉え直す必要がある

群れの中で怪我をした者は
容赦無く置き去りにされる
それは実子であろうと関係ない

それは全体運動としてそうなのであり
だが人間世界での温かい分かち合いもまた
全体運動の現れなんだ

しかし当時私が社会に感じていた「冷たさ」は
子を置き去りにして
後ろを振り返らずに進んでいく
まさにそんな群れの様子だった

優しさを見つけようとするほど
厳しさしか見えてこない

だがそれは探そうとするから
その反動があっただけなんだ

 

温もりを求めるための悲劇

ところで優しさという言葉を
辞書で引いてみればこのようにある

他者に対して思いやりがあること
これは「動作や状態」を示しているといえる

つまり確保されるものではなく
その時々に「選択される行為」にある

だから世間に優しさを「求める」というのは
言ってみれば
他人にその動作を起こさせようという
白々しい魂胆のもとに為されるものというわけだ

ではあの頃の私は何をしようとしていたのか

それは”悲劇の人物”を装って
お涙を頂戴しようとしていたのと違わない

もちろんあからさまにそんなことを
考えて演じていたわけではない

「本当に」辛かったし
「本当に」悲しかった
それはまぎれもない”事実”だった

だが同時に
その「本当にそうなんだ」ということを
訴えている自分がいた

つまり心の中で
その「演技」に気づいている自分がいたわけで

だから決してすっきりせず
泣いても笑っても
不完全な違和感を拭うことができない

当時の私は薄々それをわかっていただろう

だが悲しさや惨めさを”演じ”なければ
優しさを受け取ることができない
他者からそれを引き出すことができない

もちろん必死に生きていた
だけども世間からも”神”からも
見放された絶望感がいつも漂っていた

だからせめてひと時でもいい
正気を保つには温もりが必要だったんだ

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