異性にモテるための2つの原則

近い内容の質問メールが複数届いているので、みんな同じ返答になってしまうこともあって、こちらに手記にしておくよ。

その質問とは「どうすれば異性にモテるのか」というものだ。今回は有用なメソッドを話すけども、その前に理解しておくべきことがいくつかある。

まず「モテたい」と外を意識している時点で、いつまで経っても「己自身は満たされることはない」ということにある。というのも仮にあなたに好意を持つ相手が現れたとしても、その存在はあなたのなかで排除されてしまうからだ。

「そんなことはない、この孤独が癒されるなら、相手が現れた時点で満足だ」というならば、それはもう「モテたいと思わなくなった」ということだね。

だけどもカップルにしろ夫婦にしろ、一緒になる相手ができて孤独な気持ちが一旦落ち着いたとしても、再び意識が外に向きだすことになれば、大切なものを見逃し続けることになる。

つまり言い換えれば、これは異性が対象にあるだけであって、日々の暮らしも仕事も、外の空気を吸って豊かな自然のなかを歩くことでさえも同じで、「いまここにあるもの」に気づかなければ、求め続ける限りずっと見失い続けるということだ。

だから今回の主旨は、そうした「放蕩的なプロセス」を経て、己が真に望んでいる領域がなんであるのかに気づき、そしてそこへ到達することにある。

1.

現代人の大半がそうであるように、どれだけのお金や物に埋もれたところで「獲得志向」である限りは、人生はただ虚しいだけとなる。まして失うことの恐怖に追われて、自分が「いま何を手にしているのか」に一向に気づくことができない。

だがそうした虚しさを度々経験することで人は「己の間違い」に気づき、そこから学んでいくわけだが、ところがそれは逆にいえば、「人生が虚しさを知るまでに行き着かない」ならば、学ぶことすらできないということでもある。

つまり効率的な人生ばかりをみて、世間に揉まれたこともなく、人同士の関係で心の痛い思いをしたこともなければ、その「反動がきっかけ」となる執着心の溶解さえも起こすことができない。つまり「己に間違いがある」ということにまったく気づけないというわけだ。

そうなると人生での不条理はすべて「他人の責任」となる。また、自分の容姿や生まれの問題であるとか、運命だとか、そうした「外部」にのみ責任を押し付けた恨みの世界を歩むことになる。

2.

いまや情報が溢れかえっている時代であって「実際的な体験で自ら学ぶ、体で覚えていく」という以前に、本来そうして学ぶべきはずだったもの、すなわち「すでに学び終えた知識」を先に得てしまう傾向にある。

それはあなたが「赤い色」を見たこともなく知らないとき「この世には赤い色というものがあって、それは気持ちが情熱や怒りなどで高ぶっている様子を表したような色だ」と「話だけで知ったつもり」になっているようなものだといえる。

そうなると、その知ったつもりのもの「だけ」が赤い色だとされ、その想定から外れたもの、たとえ本当の赤い色が目の前にあったとしても、あなたはそれを見逃すことになる。つまり「赤い色というのは、これこれこういうものだ」と思い込んでいて、その思い込まれているものが「己の知っている世界」となる。それはとても制限されたものだといえる。世界は実体験の現れではなく、聞いた情報でしかないからだ。

私たちは「人間」をやっているからこそ、そのなかで原理や法則を基盤にしなければならないのであって、もしその法則が外部的なものに依拠するならば、己は常に操られていることになる。

だが実際にはこの宇宙は「状況や事態があるだけ」であり、つまり固定観念(過去の再生)に縛られず状況や事態に「適応していくこと」が大事なのだ。そうして事態に直面していくことで、原理や法則を超越していくこと(過去に縛られない、自らの望みの法則を創り出すこと)が可能となる。それが学びのプロセスというわけだ。

3.

これは恋愛も同じである。

あなたにとって愛とはなんだろう? どうして異性を求めるのだろう? それは「どこかで聞いた話」や「どこかで見たこと」を「きっとこういうものだ」という想定によって”欲望”しているだけではないかな。

つまりその「想定」通りにうまくいかなければ、あなたにとってその恋愛は失敗であり、またそれ以前に「その想定こそが恋愛」であるから、その想定が現れるタイミングを「いつも待っている」わけだ。

だが愛とは本当にそういうものなのだろうか。「赤い色」と同様に、あなたが求めているのは「想定」であって、その想定が完全な状態で現れるのは、まずありえない。なぜならそれは「過去にどこかでみたまったく同じもの」を見つけようとしているわけだからね。

4.

となるといつまで経っても「恋愛という幻想からの学び」を終えることができないことになる。どこかにあるはずの恋愛という甘美な宝の出現を待ち焦がれている。

言ってみれば武道の門をくぐらずに、その門のまえでウロウロしたまま一生が終わっていくようなもの、武道によって己の執着を木っ端微塵にしてくれる可能性が、ところがその執着によって、門のなかへ入ることができないという自己矛盾に陥っている様子にある。

周囲の目を気にして流行の服を買いに行こうと思うが、その服屋へ着ていく服がないから一歩も外に出られないと言っているようなものだ。つまりそれは情報だけが先に得られてしまっていること、ゆえに「失敗を恐れること」が心にこびりついているからだ。

だが失敗とはなんのことだろう? 失敗なんてのは「想定」に対してのものであって、想定を持っていなければ失敗などありはしないのだ。

だから何事も「最初の一歩」というのは、常に勇気が必要とされるわけなのである。「自分」を脱ぎ捨てる勇気がね。

5.

さてここまでの前置きをしたのは、冒頭でも話したように意味あってのことだ。だからここまでの話を理解したうえで、2つほど「異性にモテるため」の原則となるもの、というより人間の本質についてのアドバイスをしておくよ。

ファッションや相手とのメールの受け応えやデートコースなど、そうしたことは巷の恋愛メソッドを見てもらうとして、ここでは私なりに「ひねり」をきかせてあなたに伝えていることを忘れてはならない。

さてその「2つの原則」とは以下となる。

・人はみんなが欲しがるものを欲しがる
・好きという思いは小出しにすること

これは恋愛の駆け引きといった表層的な話として伝えているのではなく、「駆け引き」が起こされる根底となるもの、つまり「人間の特性」を理解するために示している。そのことを頭に入れて順に話していこう。

6.

まず「みんなが欲しがるものを欲しがる」だが、たとえばあなた自身を考えてみればよい。あなたは何かが欲しいとき、どうしてそれが欲しいと思ったのだろう?

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