運命の出会いと結ばれる

たくさんの年末年始のメッセージが届いている。みんなも素晴らしい一年となることを祈っているよ。ありがとう。

さて、そのご挨拶と一緒に今年の抱負を述べてくれていたりするのだけども、なかでも「今年は素敵な出会いに恵まれるように生きていきたい」という目標がわりと多くあった。

出会いといっても、新しい恋人や趣味を分かち合える仲間や、あと人生を変えるような出来事などもちろんいろいろあるけども、どんな出会いにしても大事なことは、ただひとつだけなんだ。

たとえば、世界はこんなに人が溢れているのにどうして自分は一人なんだろう、なんで孤独なのだろう、といった疑問は私たちの誰もが浮かべるものだろうし、同様にこんなにたくさんの物事で溢れてるのに、どうして人生が広がっていかないのか、というのもそうだね。

だがそれを克服しようとして、誰もが間違えた方法をとってしまうんだ。

 

あるようにみえるのは、そもそも”ない”から

じゃあそうした疑問を解消する「ただひとつのこと」とはなんだろうといえば、それは「行動が出来事を起こす」ということだ。単純な答えに思えるだろうけどもこれには深い意図が含まれている。

もちろん行動を起こすには勇気や自信という、もっとも乗り越えがたい壁が目の前にやってくるだろう。

だがね、この勇気や自信というのは、それを失っているときにだけ存在する言葉であってね、いまのあなたからみて「あの人は勇気や自信があるなあ」と感じるその人というのは、実は勇気や自信などまったく意識していないからこそそうなんだ。

だから何かを成した人たちは、みんなこう言うんだ。「どうしてもっと早くはじめなかったんだろう。なにをためらっていたんだろう」とね。しかし彼らはどんな境地にあるのだろう? どうやって”壁”を乗り越えたのだろう?

つまり「壁があること自体がすでに壁を乗り越えられないものにしているそのパラドクス」をどうやって消し去ったのだろう?

それにはちょうどよい実例があってね、私の知人の会社で働いてる若い社員が「恋人ができたんですよ」と先日話していたからだ。

というより社長が「おまえ最近幸せだからなあ」というから私が彼に尋ねたわけで、照れながら話してくれたんだけども、その相手というのは、同じ趣味同士のオフ会で以前から顔を合わせていた仲だったが、いつも「今日は楽しかったですね」という挨拶だけでそれ以上の発展はなかった。

 

責任転嫁

そこからの彼の話をまとめてみればこんな感じだった。

オフ会を繰り返すたびに、煮え切らない気持ちが大きくなって、だから会うたびに彼女が自分のほうを向くようにといろいろ演じ始めた。

格好をつけたり、同性仲間と仲良さそうなふりをみせたり、好感を高めようとしたわけだ。

つまり自信がなかったわけだね。

だがこれは「出来事を生む行動」ではないんだ。

話したように「勇気や自信があるようにみえる人」というのは、実は勇気や自信などまったく意識してないわけで、そんな人の行動こそが進展を起こすことになる。

ついでにいっておけば、彼女に振り向いてもらうための工作をしている彼も、以前までの奥手でただ眺めているだけだった彼も、何の違いもない。

わかるかい、格好をつけて見せびらかすのも、物欲しげに指をくわえてるのも、どちらも相手の返事を「待ってる」のであって、言いかえればそれは、自分が失敗や恥をかきたくないからと相手にそれを背負わせているのと同じなんだ。

遠回しなアプローチをしてるつもりでいるのだけども、その”遠回り”は決して自分から手を差し伸べることはなく、一番苦しいところだけ相手に丸投げして、それを期待しながらずっと彼女の周囲を旋回し続けている様子にある。

どんなにカッコつけても、そんなの全然カッコよくないね。恋愛でなくても自分のアピールだけして相手に認めてもらおうという態度も同じ。その魂胆にあるのは実にせこい考えだ。そしてそれが思い通りにならなければ腹を立てる。

実際カッコいい人というのはそれとは真反対にある人だろう。

格好をつけるのは自信がないからだが、つまり本当にカッコい人は、逆説的だが、なにもカッコつけてないからにある。男女問わずね。

それはハンサムだとか美人だとかはまるで関係がない。

その人らしさがあって、そして自己保身など気にせず寛容であるからこそ、かっこいい。

そうした人は総じて”静か”だろう。明るくても静寂が漂ってる。人前でうるさく騒ぐ人は、そのうるささに頼ってるわけだからね。

 

運命の出会い

だから出来事を起こす行動の”意味”を取り違えてはならないわけだが、彼はそこに気づいた。勇気や自信の「意味」に気づいた。

つまり”彼の世界”は、彼からの誘いを待っていた。

待つのは彼のほうではなかったんだ。

“彼にとっての彼女”は彼からの誘いを待っていた。ようやく彼はそこに気づいた。

もちろん彼がなんでも受け取るわけではないように、彼女が誘いを断ることもあるだろう。

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