星空と大地のあいだ
あなたは「自分」ではない、と仏教やスピリチュアルでは伝えられる。「自分」とは日頃当たり前のように意識している自分のことだ。
確かに名前も性別も国籍も育った環境によって備わった常識や性格も、たまたま携わることになって習得した特技なんかも、すべては「私」ではない。
それらは「私」という裸が着ている服のようなものだ。引っ越せば住所も変わり、結婚や縁組はもちろん、裁判所に氏名変更の手続きをすれば名前だって変えることができる。新しい人たちと関わりだせば、考え方や性格もまた変わっていく。
だからたとえいま「なんでこんなに自分は不幸なんだろう」と思っていても、それは「私」が不幸なのではなく、不幸と捉えている「自分」が不幸そのものであるにすぎないのである。
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さて、このようにころころと入れ替わる「自分」をアイデンティティという。アイデンティティは自己同一性という意味なんだけども、ここまでの話からわかるように、要するに「何かに固持していること」が自分という現れであるというわけだ。
固持というのは、しっかり握って放さないということ、ゆえに宗教やスピリチュアルでは「手放し(リリース)」を教える。もちろんその握られているものは「私」ではなく、リリース可能な自分という服であるからだ。
「苦しい思い」を「握っている」のであって「私」が苦しんでいるのではない。言ってみれば、漢字の意味もわからず「苦」と書かれたTシャツを着ているようなアメリカ人のようなものだが‥おや、あなたも同じシャツを着ているね。
だがここで「じゃあすべてが幻なんだからそれでいい」という話はあなたに何の光も生まないだろう。なぜなら、すべてが幻(つまり来ている服)であるということは、すなわち「服」を全部脱いでしまったら、もうあなたは存在していないことになるからだ。
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