私たちとはそもそも何なのか(1)

最高に充実して生きていくにはどうすればいいのだろうか。誰もが「宝くじでも当たって、抱えた問題や毎日の出社から解放されて何も義務がなくなればそうなれるだろう」という。

だがそれは間違えている。あなたが「人間」である以上は、逸脱した暮らしからは決してハッピーをつかむことはできない。つまり人間が充実して心地良く生きていくには「人間であること」が至上の課題なのだ。

そのためには人間とは何であるのかを知らなければならない。今回は3回にわたって「私たちとはそもそも何なのか」を解明していこう。これを知れば人生にスッキリとした見通しが持てるようになるだろう。

 

1.人間というジャンル

あなたは人間である。それは間違いないはずだ。だがあなたが「私は人間です」というとき、それは自分ひとりを指しているのではない。たとえばある人が「私は野球選手です」というとき、なにを感じるだろう?その目の前の人だけではなく、その背後に広がる野球世界全体が見えてくるのではないかな。

野球にはルールやチームとの連携、相手チームとのやりとり、さらには野球業界という全体的な動きなどがある。そうして「野球選手」が成立する。決してその人だけが活動しているのではない。

「人間」もそれと同じであり、全体的な構造あっての存在であるのだ。つまり野球という全体がないのに野球選手が成立しないように、あなたは構造の一部分としてそこに存在しているにすぎないということだ。

この理解が「自分が個人である」という錯覚から「全体として見て、全体として動く」という、根本的な人間のあり方に目を向け直させることを可能にする。

 

2.「人間」の構造

人間は主に3つの要件で成り立っている。それは「労働」「創造」「共同体としての活動」だ。生涯を労働で支えて、自分だけの世界を創り出して楽しみ、共同体としての活動(交遊や恋愛、買い物など)を行う。

これが「人間」というジャンルの詳細であり、いってみれば動物と人間をわける違いとなる。こうして人間を「要件」という視点からみたときに、自分の人生についての見方が明晰になってくるわけだ。

では「労働」から入っていこう。

 

3.労働について

まず理解しておくべきことは、人間の社会とは「労働社会」であるということだ。これを頭に叩き込むことだ。人間は労働することで生きており、労働と延命は不可分の関係にある。

ここでいう労働というのは、会社勤務など仕事に限ったものではなく、何かを満たせるために行う労力全般のことだ。体を綺麗にするには、お風呂に入らなければならないし、腹を満たせるには、何かを食べなければならない。この何かを達成したり維持するために「〜ねばならない」という行為を総称して労働という。

生活のため、お金のために会社に勤めなければならないというのももちろん労働となる。だがこのように「労働とは広い意味である」と知れば、会社勤めだけが極端に忌まわしいことだという感覚は薄れるだろう。つまり生活=労働なのだ。

 

4.労働は何かを得るものではない

この労働という観念は生産的なものではない。「補うための活動」となる。車を走らせるのにガソリンを必要とするが、減っていくガソリンを「常に継ぎ足し続けている様子」が労働といえる。

だから労働そのものは余剰的な富には満たされない。強いて言うなら満たされようとするべきではない。これは重要なポイントだ。これを取り違えるから誰もが人生が重くなる。

労働の喜びは別のところにある。たとえば散らかった部屋が片付いてすっきりしたような感覚がそうだ。ゆえに労働で金持ちになろうとか、有名になろうとか考えてしまうと、一向に片付かない部屋に放り込まれているようなことになる。

だから「労働」の本質をよく理解することだ。何かを獲得するためにやるのではない。まさに「仕事を片付けるため」にやるのだ。人類の命運を預かって重大な責任を負っている大統領も、蓋を開ければただの賃労働だ。コンビニのスタッフと変わらない。社会はそのようにして成り立っている。

もちろん不真面目な勤務をしろということではない。やるべきことを精一杯きちんとこなして、それ以上の何かを期待することをやめることにある。労働では何も獲得しない。ガソリンのタンクの容量は決まっているのだ。車がガス欠にならないように働くこと、それが労働であり「全体」への還元なのだ。

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