自分を殺さず生きるということ

愛と自由は同じものだ
やりたいことを
愛は何でも許してくれる

だがそれは
自分のわがままを聞いてほしい
というものじゃない

そのように考えてしまうと

「誰からも愛されていない」
「どうせ自分のことなんか
わかってもらない」

ということにしか行き着かない
愛に気付くというのはそうではない

森に落ちている無数の石ころを眺めれば
すべてが独立して転がっていることがわかる
それは雨や風、生き物の動きで
そこでそうなったものだ

だがその無秩序に向かう自然界の流れこそが
森という組織を生み出している

つまりそこに転がる石は
誰かに認められる必要はなく
そのために誰かに良い顔を作る必要もない
ただ自分は自分のままで
あり続けているだけでいいのだ

 

生きているということ

あなたの体は数十兆という細胞の集まりだ
いわば巨大なアパートのようなものだ

それぞれが自分の暮らしをやっている
食べ物から栄養素が細胞に届き
ATPに変換してエネルギーにする

社会生活を送る私たちとまさに同じである
働いてお金を稼いで生活をするようにね

ただ細胞は仕事にこだわらない
大腸の粘膜であれ軟骨であれ
たまたま配置された
その場所での仕事を完全に全うする

そうして各々がいかに自分らしくあるかが
あなたの体という秩序を形成しているのだ

つまり肉体を良いものにしようとか
考えているわけではない
そもそも細胞は肉体のことなど知らない
ただ自分を最高に生きているだけなのである

私たちは「職業」に囚われがちだが
本当の仕事とは細胞たちのように
自分らしく何かをすることであり
職業の内容は関係がないのだ

そして細胞は己のコピーを作って
常に入れ替わっている
人間でいう生と死が繰り返されている

血液や骨もそうだが
顔のシワやお腹の脂肪でさえ
わざわざそれを維持するために
そのコピーが作られ続ける

1年もあれば物質的には
体はまったくの別人となるが
あなたは「同一人物である」のだ

私たちの世界はどうだろう
社会をひとつの生命体としてみたとき
その構成要素は絶えず入れ替わっているといえる

この世とはまるで花火大会の
クライマックスのように
美しい光線が炸裂し続けている様子にあり
私たちひとりひとりの自由な生が
その連続した美しさを担っている

時代や歴史を生み
文明や社会が発展し
ささやかな人間ドラマが繰り返される

部屋で過ごしたこと
誰かと話をしたこと
笑ったことや泣いたこと

それは静止した美術ではない
だから手に取ったり保管することはできない
動きのなかに起こる神秘なのだ

たとえば体を動かしているとき
波打ち際のキラキラした飛沫のように
何兆という細胞たちが躍動している光景を
イメージしてみるといい

その残像
その思い出が花火だ

 

異分子

さて私たちは細胞と違って
思考することができる

だから自分の暮らすこの世界を
素敵で美しいものにしたいならば
「全体としての自分のあり方」を
いつも意識しておく必要がある

それは未来への不安や
そこにいない人のことを思い煩うなど
そんな妄想に生きるのではなく
いまそこにある太陽の光や風と
共に存在するということ

つまりいまという共同体に参加するということだ
その共同体だけがこの世のすべてだからだ

ならば自分が自分らしくあることの責任を
理解できるようになる

よく「自分のことを優先するというのは
他者に嫌な思いをさせるのではないか」
といったことが聞かれるが
それは自分と他者を別個の存在として
みているからだ

つまりその考えを持っている時点で
自他への欺瞞であるのだよ

かといって人類は家族だから
「いつも一緒に湯船に浸かっているようであれ」
というべっとりした話でもない

人間ひとりを細胞だと置き換えたとき
周囲の目などを気にせずに
自分のことをやっているからこそ
そのエネルギーが全体に還元されるのだ
そのおかげで肉体が活動できるからだ

だから「世のため人のため」とは
自分を犠牲にして誰かに奉仕することではなく
自分を愛したことへの結果として起こるのである

もちろんそれは他者を意識しての
「独り善がり」のことではない

自己中になるとか
無謀になってやるだとか
わがままを貫くとか
そういう他者の目のなかで生きることではない

他者を意識せずに
自分自身のままに生きているということだ
ならば細胞は癌細胞にならず
肉体を病気にすることはない

だからあなたが自分を殺して生きると
周囲がどんどんダークに染まる

いくらその行為が良かれと思っていても
「自分はこれだけやっているのに」
という思いが
必ず心の深層に刻まれているからだ

それはやがて「あなたの世界」の
機能不全となる
すると全体の方から
あなたを殺し始めるようになる

つまり「治療」がスタートする

さあどうだろう
あなたは世のため人のためと思ってやってきた
ただでさえそれは大変な苦痛だったのに
それが完全に裏目に出てしまう

まるで「あいつにやらせておけばいい」と
言わんばかりに
人々は一層つけあがるようにみえる

だがあなたはどこかで覚えた美徳のために
必死で絶え続ける
夜の天井を見上げて浮かぶ恨み辛みを
堪えながらね

そんなことを繰り返していないだろうか
ならばやがて体に不調が起こり始めるはずだ

あなたを排除するプログラムは
自分を殺し始めた当初から
すでにリストに上がっていた

全体はそれを見逃さない
最初は他者や生活環境を通じて
警告を送りはじめる

それでもあなたが
自分を殺すことをやめないなら

全体は止むを得ず
あなたを殺す

 

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