己が存在すれば世界は幻想となる

前回から続こう

日頃の「自分」の正体とは思考なので
思考がどれだけ思考を暴こうとも
それは無理な話なのだ
インディジョーンズのように
壁画に残された痕跡をヒントに
真実へ辿り着かなければならない

そして「自分は何者か?」
その問いの答えはもちろん無だ
そんなものはいない
ただ認識を立ち上げているスペースがある
そのスペースに
あなたが普段見たり聞いたりするドラマが表示される
だから人間同士のいざこざなんてものはないし
支払いもない、苦悩もない
それどころか「悟り」も
あなたが生み出しヴァーチャル体験しているだけであり
そんなものも実在しない
ただあなたのドラマの中では
それが「ある」という設定なのだ

学生の頃バスケット部に入っていたら
当時の部屋はバスケに関係するものばかりだろうし
あなたが男性か女性かという設定だけで
その「見るドラマ」は大きく違ってくる

こういうものはニュアンスだ
書き方ひとつ、読み取り方ひとつで
真実を垣間見れたりする

虫になる

自分とは一体なんでしょう?

体重を感じてみる

なんでもいい
星の数ほど月に向けた指があるのは
その中から何となく感覚が掴めるものを
自由に選びなさいということだよ

では人生がヴァーチャルなのであるならば
セーフティなのだろうか?

いいかい
安全か危険というものすら設定だ
つまり危険もある
あなたがすでに「危険」を知っているからだ
どんな場合が危険かね
支払いが滞り取立に迫られる
社会で恥をかく
山で遭難してどんどん衰弱していく
一切の不幸と呼ばれるもの
一切の事故と呼ばれるもの
それらはあなたのドラマにあるのだろう

だからそのドラマを見ている限り
あなたに下ろされる天からの糸すら
ドラマの設定なのだ
その糸は登っている最中で切れるようになっている
実にうまいことできている

どれだけ光明に感じる教えや奇跡的な出来事
そんなものに遭遇しようが
すべてドラマの設定である
その中で藻がいている限り
苦からは逃れられない

では超越とはなにか
つまり糸が切れようが危険になろうが
死が迫ろうが
それらは実際に起こっていないということ
そこに気付くことだ

生まれてからずっと水の中にいた魚が水に気付く
そのときに何が起こる?

魚は水に溶けるのだよ
存在が溶けていく
水とひとつになる
いままで見てきた世界の出来事
そのすべてが己だったと理解する

それまで大きな魚に狙われそうになったり
子孫を残すために適正な場所を探したり
そのために不安になり心は折れ眠れない日が続いた
だがその魚は気付く
「不安になったりする心」が自分だったのだ
「楽しい気分になったりする心」が自分だったのだ
だけどもそれら「ムード」はいつもころころ変わる

あれ?なんでころころ変わっていることを知ってるのだろう

魚は探す
「自分」を見ている自分がいる
外側も内側もくまなく探した
だがそれらしきものは見つからない
自分以外のもの、それは無限にありすぎて
どれが「それ」なのか見当もつかなかった

魚は新しい海に着いた
着いたことを認識したから着いたとした
認識した心がその時点での自分
少し先に奇麗な珊瑚礁をみつけた
奇麗とかみつけたとか、そう認識した心が
その時点での自分
危険な生物があそこにいる
ヒヤヒヤしている、そう認識した心が
その時点での自分だ
そうして連続的に変化する「自分」を意識しながら
魚は旅を続ける

自分は無数にある
そのシーンごとの状況で常々変化する
さっきまで白だったものが今は黒だ
だけど白が黒に変わったなんて
白には決して識別できない
だから色が変わったことを知っている何かがいる
いやもしかすると
黒になったときに、さっきまでは白かったと
いつも少し過去を見ているだけかもしれない
だから本当に楽しいとき
それが楽しいと知るときには少し醒めたあと
その最中には楽しいとすら認識できない
そのように解釈すると
やはり自分は自分なんだ
そんな「大いなるもの」なんてなかったんだ
そう思えてくる

魚は旅を続けた
毎日考え続け、探し続けた
そうしてある日、ひとつの答えに辿り着いたのだ

無駄だ

探している限り見つからない
考え続けている限り解決は出ない
だからやめよう
もうそのままに生きよう
危険があったっていいだろう
ころころと自分が変わり続けるのもいいだろう
なんだっていいのだろう

そうして魚は水に溶けることができた

いいかね これが超越だ
どんなに理屈を重ねたところで
それは心のドラマを超えることはできない
ドラマに設定を与えているだけだからだよ
つまりドラマに設定を与えないこと
だが設定を与えないことが設定となる
だから完全放棄だ

すべてやめなさい
諦めなさい
降参しなさい
その世界は完璧すぎる
つまりあなたは完璧なのだ
だから世界に任せなさい
任せた上で好きに生きなさい

「なるようになる」

もうこれしかない
雨が降れば濡れればいいし
腹が減れば食えばいい
金が欲しければ働けばいい
仲間が欲しければ作ればいい
やりたいことを何の躊躇もなくやればいい

なんでも「すぐ」に取りかかればいい
それが許されているのだ
それができるのだ
余計なことを考えず
つまり「自分」に食われず
世界にコトを起こらせる

天からの糸が切れてもいいのだ
魑魅魍魎の地獄に落ちても全然オーケーだ

一匹の虫になりなさい
大地を駆け抜けただひたすら進む
いちいち考えたりしない
ただ自らの存在を感じているだけ
それだけで十分だ

世界は己であり
そのフィールドこそが実在なのだ
大雨が降ろうが
暴風が来ようが
大敵に襲われようが
どうでもよい

ただ己の存在を感じているだけ

探すところは内側だったのだよ
だが探している限りは見つからない

なぜならば
あなたの「存在」はずっとそこにあったからだ
存在はどんな大金よりも宝石よりも奇跡よりも
素晴らしい

ただ己の存在を感じなさい
マフィアやヤクザの抗争の世界で生きる彼らは
より「悟り」に近いかもしれない
暴走族もその行為をしている瞬間はそれに近いかもしれない

一匹の虫になる
ただ己の存在を感じる
強く、己の存在を感じなさい

どれだけ有り難いことか
必ずわかるときが来る

その世界のすべてが
ビューティフルだ

 


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