レーダーから消える
死とはなにか
それは自我の消失のことである
肉体の死がイメージされるだろうが
熟睡や瞑想も死のことだ
自我がなくなるとき
そこに何が起きているかといえば
まあつまり、死んでいるということだ
生きながらに死んでいる
自我を持たない植物たちは
あなたの感覚でいえば
「死んでいる」となる
あなたにとって生きていることとは
エゴの活動のことを指している
ただしそれは
「鮮烈な生」のことじゃない
エゴの生とは、
幻想の中で溺れている状態
植物たちのように実存に委ねている
状態こそが鮮烈な生なのである
つまり、あなたにとっての死とは
本当の生のことだよ
夢や目標を追うあなたが
その日を確実に生きるだけの誰かを見て
「彼はなんてつまらない人生なんだろう」
そう発言するとき
あなたは腐敗臭が漂っており
彼は鮮烈な生というダンスの最中に在る
自我、つまりエゴとは
あなたが日頃頑なに握り込んでいる
「自分」や「私」のことである
あなたがそれを捨て去ると
世界から「あなたという発生源」
は存在しなくなる
あなたの意思表示が世界に消える
航空レーダー上に点滅していた
ポイントが消える
そこに何が残るのかといえば
あなたがいた世界だけが残る
航空機が消えて大空だけが残る
あなたはいつも大空を舞う
旅客機を見ていた
美しい夜明けの海上を飛んでいたり
乱気流で危険な状態になったり
いつもそのフライトを眺めていた
大空と、そこを飛行する機体
そのすべてを感じていた
だが機体は年々劣化する
故障やトラブルが多発し
他の最新型機からも
どんどん見劣りしてくる
機体が新しかったあの頃に戻りたい
最新の豪華な機体になりたい
そんな思いばかりを抱くようになる
美しい夜明けを飛行しても
何とも思わなくなる
最新型のキャビンからならば
それはより演出され美しいのだろう
こんな私のような薄汚れた機体じゃ
どんな場所を飛んでいても退屈なだけだ
あなたはいつの頃からか
大空に浮かぶ飛行機を見ていた者ではなく
飛行機そのものに憑依していた
客席の小さな窓から見える風景
あなたの視界とはそこを覗き込むこと
もっとこうでありたい
こうでなくてはだめだ
そればかり
そしてある日の未明
レーダーから点滅が消える
消えたのはNH1262162型機
あなたが自分だと思い込んでいた旅客機だ
これが自我の消失
つまり死のことである
点滅が消えてもレーダーは回り続けている
機器は変わらず時間をカウントしている
まるでそこに何もなかったように
あなたが消えても世界は回っている
あなたが消えたあとに残った大空
美しい夜明けは昔もいまもそうだった
客席の制限された窓から望む必要もなく
どんな豪華な窓を用意する必要もなく
ただそこにあったのだ
何も変わらずそこにあった
それが退屈に見えていたのは
客席の小さな窓によるものだった
あなたが「自分」を通じて見る風景が
すべてを歪ませていたのだ
あなたはそれを思い出す
思い出すことと同時に
そのすべてに戻る
木の葉から落ちた水滴が湖に還る
水滴のアウトラインは消失し
湖とひとつになる
それが死
それがエゴの超越
そしてそれが本来の様子
いまあなたが四苦八苦して唸っているのは
「私」を持ち続けているからだよ
その「私」を見つける探求を続けなさい
自分の内側に探してみなさい
感情が起こるとき
何か意思表示をしているとき
それは一体どこからやってきて
本当にそれは「私」なのか
それを確かめてみなさい
今すぐにでも始めることができる
あなたが盲信している自分というものに
意識を照らしてみなさい
暗闇でずっとそうだと思っていたものが
照らしてみると
ただのガラクタだったことがわかる
そして「私」は決して見つからない
そこに気が付くだろう
大空を飛行する機体の客席に
あなたは座っていなかったのだ
あなたが大空だったのだからね
管制塔のレーダーから「私」が消える
痕跡もなく消息を絶つ
レーダーから消える
レーダーから消え
レーダーから
レーダ
レ
Notes あなたの世界, それ, タオ, ワンネス, 幸福, 意識, 生命, 真実, 苦悩
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素晴らしい手記ありがとうございます
きっと誰が読んでもそう感じるのでしょうが、まるで今の僕宛に書かれた教えのように感じました。
今数年間もの間サボっていた大掃除を凄まじいペースでやっています
既に40リットルのゴミ袋10袋以上の物を棄ててます(正確には明日処理場に捨てます)
捨てれば捨てる程「今までなんて余計な物に囲まれて生きていたんだろう」と愕然としました
特に過去に製作した作品からは「幸せになりたい!」「報われたい!」「愛されたい!」と呪いにも似た古い念が立ち込めていて、僕がどれ程の何に囚われ立ち止まって生きてきたか理解でき少し切なくなりました
いや、中途半端な霊感しかないはずなのに掃除中完全に部屋が瘴気で溢れ返ってましたよ(笑)
我が事ながら人の念って凄いな、でも小さいなって思いました
物や埃と共に捨てた想いの分だけ自我が小さくなった気がします
そしてこうして文章を綴るのもまた何かを捨てて循環させてるのかな、と感じました
いつか僕の自我も生きながらレーダーから消えるのでしょうが、今はもう少しの間貴方から色々な事を学びたいと思ってます
いやはや物も、夢や恋の願いも持ち続けるとロクな事ないですね
重かった!そして軽くなった!(笑)
捨てる前は捨てる事が恐くて仕方なかったけど、やり始めると本当になんてことないもんなんですね
先日はクソ重い愚痴を吐いてしまいすみませんでした_(._.)_
窓からまたさらに離れた僕は、これからも少しずつ大空になりながら人生と言う名の映画を楽しく鑑賞したいと思います
いつも誠にありがとうございます!
自分さんに宇宙規模の祝福がありますように!
>>あの時の覚醒者さん
制作した物とは
あなたの思いが物質となったものだ
その対象物が何かを発するのではなく
完全なるあなたの思いの結晶
認められたいと思い制作したものからは
そのネガティブを常に感じるようになる
それ自体が放つのではなく
制作物の存在があなたの中のトリガーとなる
それが車の形をしていようが
船でも人の形でも
その形状は関係がない
だからそれが好ましいものでないのならば
近くに置かないことだ
「見たら思い出す」程度ならよいが
多くの人は、それすらも気が付かない
「なぜかここにいると憂鬱だ」
そのように感じるだけで
その理由を日常生活や何かの関わりなど
その原因を探していき
ついには、まったく関係のない人のせいだとする
そうして人はイライラしている
少しのことで負の感情で溢れるようになる
あなたの好き嫌いは常に変わる
だがそれは「変わる」のではなく
例えばいま「重い感情」と思っているものも
それがなくなると切なくなるかもしれない
それは「重い感情」がなくなったから
切なくなったのではなく
「切なさ」が生まれたのだ
感情というポケットはいつも何かで
埋まるようになっている
だからいまのあなたが好ましいと思うもので
埋めればいい
その為には、そこにあるものを捨てることだ
捨てると手に入る
勝手に流れ込んでくる
それが宇宙の法則といわれるものの所以だよ
先日はお返事ありがとうございます。
私が私じゃない、その感覚が全く掴めていない感じです。
ですが、私が私と思っているものが私ではないのなら、私は一体なんなんだろう
今運転中ハンドルを握ってるのは?
ベッドに横たわりながらiPhoneをいじって私は誰だと思っているのは?
私は私で私だよ!と思ったりするんですが、過去というものが今現在創られてるものなら?それが本当はなかったことなら?
今生きてると勘違いしてるこの肉体と思考ですら世界の一部なら、私は一体どこなんだろう?とおもいました。
思考や自我だけが私で切り離されてるんじゃなくて全て私なら
あーだめ。難しすぎてすぐ自我と同一視してしまう。
距離を置くって難しいですね
>>匿名さん
よろしい
まず「私が私じゃないという感覚が掴めない」
その通りだよ
あなたがあなたでなければ
それを実感することはない
「実感」という作用がエゴの枠内なのだ
だからあなたがイメージできるものはすべて
エゴの生み出したトリックとなる
>>運転中にハンドルを握っているのは何か
それは「運転中にハンドルを握っていること」が
そこにただ起こっているだけだ
誰かが何らかの意図でハンドルを握って
操作しているのではない
エゴは、そのシーンの解説をすることしかできない
それが大いなる勘違いを生み出す
例えばハンドルが握られているワンシーンに対して
「これは私が握っているのだ、事故しないようにせねば」
そのように解釈をする
信号が変わってもゆっくり歩道を渡ろうとする老人に
「おばあさん、待ってるからゆっくり渡ってね」と
ブレーキを踏んで待っている、と考える
だがそこに起こっているのは
あなたの意思でブレーキを踏んでいるということではない
あなたは自らの意思でおばあさんを待つことにし
そしてブレーキを踏んだとしているが
事実といえば
「ブレーキが踏まれ、おばあさんを待っているシーン」が
そこに起こっているだけなのだよ
そのシーンにあなたが勝手に「待っているから」と
勝手に解釈をしているのだ
すべては循環している
あなたのエゴは勝手にその流れを
「我がもの」とばかりに勘違いしているのだよ
指よ動けと念じても動かないが
動いているとき
あなたはどのように捉えている?
「私が指を動かした」だろう?
そのトリックを見破りなさい
最近ようやく雑念が起こりにくくなってきたり悪感情からのリカバリーが早くなってきました。
これは一定の効果と呼べると思います。
しかし苦手な場面では相変わらずです。
いくらエゴに巻き込まれにくくなってきたとはいえ
これではあまり意味がないのかなと思いながらも
今辞めたら単なる途中放棄になりそうなので続けております。
出口の見えないトンネルにもどかしい思いをしておりますが
マハラジも3年の探求の後に悟ったとの事なので
私などまだ甘いのかもしれません。
最近進捗状況のようなコメントばかりで申し訳ありません。
>>ONEPOINTさん
期間は関係ないよ
マハラジが3年費やしたのなら
それは3年という期間が無意味だったということだ
あなたが四苦八苦している様子
それ自体がすべてだったのだと
いずれ気が付くようになる
以前に質問させていただいた者です
‘レーダーから消える’
死にきった先にニルバーナがありました 大歓喜がありました。
”ここ”から一歩も出たくない場所がありました。
絶対の安心
大笑いの過去
この軽さ…
今の自分なら大木も指一本で持ち上げられます!
ありがとうございました。
>>Mさん
あなたが消えることがすべてなのだ
「あなた」とは一体何か?
それがすべての制限を生み出していること
そこに気が付くのだよ
いつもありがとうございます。
本来のわたしは映ってるシーンに音声解説(心の声)をしている存在でしょうか?この文字を打つとき、思考する時、全て心の中で音読していることに気がつきました。
なつみさん
大事なのは、「音読をしている私」ではなく、音読を聞いている者だよ。あなたはなぜ「音読をしていること」を知っているのだろう?
そこに意識を向けなさい。するとすべての行為や出来事が「あなた」から離れていく。現実はあなたに影響を与えなくなるだろう。