神の語りかけに気づく(前編)

今回は私たちの日常生活でもっとも重要な行為のひとつである「見ること」を中心に話を進めていこう。この「見る」ということは生きているうえで基本的なことであり、なんの疑いもなく見えるものを受け取りながら生きている。

だが見ることの原理を知るほど、それがいかに幻想を生み出しており、そしてその幻想のなかで己が生きているのかがわかる。

1.

さて「見る」だけども、実際は「見える」であって、完全な受動的作用であることを理解しておかなければならない。つまり能動的に見ているのではなく「見せられている」ということだ。見ることは心臓の動きや胃腸の働きと同じように、意識的に制御できるものではなく、無意識的なものであるといえる。

しかしどうして「自分から見ていない」のだろう?

右を見るから右側の光景が見えるのではないか? 電車で勇気を出して顔を上げるから、周りの乗客も下を向いていたことに気づくのではないか?

たしかにそうだ。

だが大事なのは「見える」とは、眼球に映り込んだものだけではないということにある。

2.

そのまえに生物学的な見地から「見える」がどのようなプロセスで実現されているかを簡単に説明しておこう。

まず外の光景を、眼球のなかの網膜が光の刺激として受ける。網膜には光を感じる細胞と色を感じる細胞が並んでいる。そうして刺激を受けた細胞は電気信号を発生する。

つまり脳のなかは家電製品と同じなのだ。1000億ともいわれる無数の神経細胞(ニューロン)が波打つようにキラキラとオン・オフすることで脳活動(体全体の活動)が起きている。

つまりその電気の伝達がニューロン間でリレーされていく。網膜から視神経というコードの束を通り視床という中継点を通過して、大脳の視覚野に届く。視覚野は大脳の後部にある後頭葉というところにある。だから顔面にある眼球の情報がわざわざ後頭部まで運ばれるわけだ。

眼球(網膜)→視神経→視床→視覚野

視覚野に到達してはじめて、何が網膜に映っているか、またそれがどのような状態(動きや色など)にあるかなどが処理される。つまり「見える」という体験がはじめて起こるのである。よって眼球は単にレンズに過ぎず「見ること」を実現するのは脳であることを押さえておこう。

3.

このように脳内は「刺激」が入ってきたら、ニューロンが電気を発生させていくわけだけども、脳内には体のあらゆる部位に対応した神経細胞のグループが綺麗に分かれている。

カナダの脳神経外科医だったペンフィールドが脳の各部位を地図のように表現した「ペンフィールドマップ」を見たことがあるかもしれない。

人さし指の対応する箇所や舌に対応する場所といった具合に、細かく担当部署が配置されており、身体の各部位の状態管理と指示を行う。指ならいまどんな状態にあり、どんな感触を感じているか、どのような動きをすればものを掴むことができるかなどの指示を送り指が動く。

4.

脳が担当部署に分かれているというのはとても不思議なことであって、たとえば聴覚に至ってはまるで計測器(スペアナ)のように、1khz帯を感じる場所、8khz帯を感じる場所、16khz帯を感じる場所という具合でわかれている。脳はまさに分業体系にある。こうした構造が明らかになるにつれて人間と同じロボットを造ることが可能じゃないかといわれてきた。

つまり人工知能と人間は何が違うのかという争点はいまだに決着していないが、その違いを提案するひとつに「自己組織化」というポイントがある。

たとえば事故などで指を落としてしまった場合、その指に対応する脳の担当部署も同時に消滅する。これは脳が主体であればありえないことだ。体あっての脳だということになる。これはワンネスの理解に重要なので覚えておこう。

また逆に生まれながらに引っ付いてしまっていた2本の指が手術で分離できたとき、脳内ではそれまで1本分の指の部署しかなかったものが、なんと2本目に対応する新しい窓口が開設される。つまり指はそれぞれ別々に動かせるようになる。窓口開設までわずか1週間足らずだ。あなたが事業を始めるよりも格段に速い。

5.

脳のだいたいの仕組みがわかってきただろうか。もちろん生物の話がメインではないので、かなり省略しているがね。

重要なのはここからとなる。

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