唯識と脳と現実変更(4)

釈迦はたったひとつだけ真実があるといった。それは「すべては不変で実体がない」ということだ。つまり広大無辺な透明なシーツがゆらゆらと揺れているだけ。前回はそれを素粒子や波動を用いて解説した。

そのシーツのある一部分に「あなた」というシミがある。それが種子(阿頼耶識)だ。過去何万回と染み付けられてきた痕跡、その痕跡がシーツの揺れとともに「動いてみえる」。

その「見え方」こそがあなたの現実世界である。

いまあなたが指を動かしていることさえも、シーツの揺れが指の動きとして現れているにすぎない。家の外から聴こえてくる通行人の声も、車の走り去る音も、誰かからの着信も、すべてシーツの揺れが「あなたバージョンの光景」として、あなたは体験している。

では自由意志はないのかといえば違う。だがそれは従来の観点を切り替える必要がある。つまりあらゆる動きは宇宙全体のものであるけども、それが「己にはどのように見える」かは自由の権利が与えられているということだ。

そもそもここには何もない。だからいまこうしてこの文章を読んでいるということが、すでにあなたの自由にあるということだ。

1.

阿頼耶識と末那識は「右脳」に対応する。連載の最初でも話したように、右脳はそのイメージだけを受け取る。そして右脳が受け取ったイメージを「左脳」が処理をする。

右脳は直観的であり、いわば宇宙という海にドボンと浸かっている状態、つまりシーツの変動にリアルタイムに応じられる様子にある。

よって「右脳的に生きている」とき、それは瞑想的に在るということを意味する。全体とひとつであり、もちろん知覚されるもの(見えるものや聞こえるもの)は種子であるけども、その「シミへの判断」を超えてシーツの揺れとひとつなっている。

これはまたあとで話すけども、人間世界の観点ではそれが「脳波」によって規定される。アルファ波とかシータ波とか聞いたことがあるだろう。リラックスしている状態、創造性が高まる状態などそうした脳波の状態とは、あれこれ思考する左脳から解放されて、右脳を通じて「シーツの揺れと連動している様子」にある。

現実で見えている物事を通り越して、無形の揺らぎに身を任せているということだ。

右脳 クオリア

繰り返すけども私たちの現実は左脳が解釈した世界となる。その材料となる素は右脳から来るが、それは末那識の情念のようなものであって固定した形ではない。

左脳(顕在意識)がその時々の環境に応じて、固定した形に計算処理をする。

たとえば仮にいまあなたが縄文時代に生きているならば、左脳で処理される光景(人々の姿や生活の価値観など)はその環境に対応したものになる。だが対人関係などで浮かべられる「情念」は時代が変わろうとも、言語の違う西洋で暮らしていようとも、それは共通のものだ。

もちろん縄文時代というのは現在のあなたの観念にすぎず、実在した時代ではないがね。あくまで「平成の現代に含まれる縄文時代」が存在しているだけだ。

だから前世といえばよく「以前の記憶はどうなのか」という話があるけども、その「情念」や何かを触れたり見たりしたときの「感じ」だけが相続されているので、前世の具体的な形をみることはできない。その形を形成する種となるもの(つまり種子)がそのまま「現世の種」として継がれている。その時々の環境に応じた光景を創り出すだけとなる。

これはまた重要な洞察があって、たとえば人の形でさえもその時々の脳で見え方が違うことを意味する。以前も話したことがあるが、同じ赤色でもあなたと私で見えている色が違う。あなたのいう緑色を私は赤色と呼んでいるかもしれない。もちろん赤色はどれ?と指さす色はお互いに同じものだ。だが見えている色は違う。

つまりこれは今世と前世のあなたの差異でもあるということだ。

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