満ち足りた人生を歩む

楽しいときというのはあっという間に過ぎていく。でもなぜ時間の経過に気づかなかったのかといえば、それは時間が「存在していなかった」からだ。

「あっという間だったな」と振り返るときにはじめて「時間」を意識している。つまりそれは時間というものが「存在していないところ」に、時間意識という抵抗を生み出しているということだ。

たとえばゆっくり流れている大きな河があって、そこにたくさんの舟が浮かんでいるとしよう。あなたもそのうちのひとつだ。

全体が「同時に」流れているとき、あなたは自分が個人的な存在であることを見出していない。

だけどもその全体が流れるなかで、個人的な進行を意識するとき、あなたは「自分という人生」を見るようになる。それが自己意識の出現となる。

ただし、いくら個人的な進行を意識して他の船や全体との差異を見出したとしても、実際には大きな河のなかで違う流れなど持っておらず、やはり全体とともに流れている。

ただ単に、心に浮かぶ光景(それが現実世界)の中でのみ、「全体に抵抗している夢」をみていることになる。

1.

大事なのでもう少し復習しておこう。

たとえばあなたがいま30歳だとすれば、もう二度と20歳には戻れない。だがそれはあなたと「同時」に、家族も会社の人たちも街の人々も、また動物や植物などの生長、建物の経年などもみんなそうだ。

つまりすべては共に時間的であるということ、それが「大きな河」となる。全体で一緒に流れている。その全体の流れに意識が調和しているとき、あなたは個人としての存在意識は持っておらず、最大の幸福の状態にあり、大きな安心感に包まれている様子にある。

そのように「全部が同時に流れている」というとき、時間は存在しないということだ。

全部が一緒に動いているとき、どうして自分が「進んでいる」とわかるのだろう? つまりそれが「わかる」のは、他の何かとの違いを作り出したときとなる。そのとき「自分」が生まれる。すなわち他との差異によってはじめて「時間の感覚が生ずる」ということである。

だから「自分」がいるときは必ず相対する「世界」を作り出していることになる。だから自分と現実世界はワンセットとなる。現実世界の他者や物事はすべてが己の鏡像であり、自分だけが変わろうとしてもどうにもならないのは、世界がこの原理によって現れているからだ。(現実を変えたいならば、世界そのものへの見方、捉え方を変える必要がある。)

こうして「時間」が生じているとき、個人的な世界(あなたの現実世界)が「全体の流れのなかに浮かぶ夢」として放映されていることになる。夢の世界に自己同一化している「自己意識」が誕生しているということだ。

よって自分が30歳だと感じているならば、それも自己意識の夢を見ているのであり、つまり現実世界のすべては全体の流れのなかに浮かぶ「幻想」にすぎないのである。

2.

つまり「生死」や「獲得・消失」や「出会い・別れ」といったように「時間」が意識されているとき、あなたは個人的世界のなかに存在しているということだ。だから「時間=自分という存在」となる。

ここで重要となるのは、あなたが個人的世界に存在していても、つまりその夢のなかに居ながらも「大きな河の流れ」を感じ取れているかどうかで、その幻想世界の幸福度が決まるということにある。

言いかえれば、個人的世界(時間世界)に縛られるほど、その幻想世界が絶対的なものとして閉じ込められてしまい、不安と恐れに取り囲まれるということだ。

「時間に縛られる」というのは、たとえば「何かを失いたくない」といった感情がそうだ。それは不安や焦りを生み、その結果、他者への反発や孤立感につながる。

また「楽しいこと」を探し求めているようなとき、それがワクワクしている最中であれば忘我となり「全体」と溶け合っているが、それを獲得してしまった、または獲得できないと感じたとき、何度も自我に立ち返ることになる。

すると自分の人生が「ただ虚しいだけのもの」として見出されることになる。

だから個人的世界に存在している私たちが、いかに「幸福な生き方」ができるかの指標をあげておくならば、それは己の意識が「外部的な時間支配」に掴まらないようにすることにあるわけだ。

3.

「外部的な時間」とはなにかといえば、それはあなたが「不幸」だと感じるときを考えてみればよい。

たとえば他人に自分の人生を握られているときなんかがそうだね。社会では労働をしながら経済的な生活をしていかなければならないが、働き先によっては完全に自分をがんじがらめにしようとする会社があったりする。するとストレスの溜まりかたが違ってくる。

つまり人生に虚しさを感じる頻度が多くなるということ、いわば「自分」を意識する頻度が高くなる=全体の流れから切り離されがちになる、ということだ。

他に例をあげるとするならば、長期に組んだローンなんかも「自分」を際立てることになるし、また娯楽にも注意が必要となる。

娯楽の多くは時間支配的な性質を持っているからだ。

たとえば縦笛のメロディを聴いているときをイメージしてみよう。そのメロディが「咲いた、咲いた、チューリップの花が〜」だとわかるのは、「ドレミ〜ドレミ〜」という連続的な音符にあるわけだが、それはメロディの流れが個人的時間とシンクロするという条件において認識可能となる。

つまり音楽を楽しんでいるとき、それは流れる時間と個人的意識が一致しているという特徴にある。

映画やゲーム、スポーツ鑑賞もそうであるし、言いかえればテレビやネットなどの「メディア」そのものが時間的主導を持つ存在であり、それらに関わる以上は、あなたはその娯楽によって個人的時間を塗りつぶされることになる。

4.

現代は様々な娯楽や選択で溢れかえっているが、それでも根拠のわからない不安や欠乏感、つまり「何だかつらい」と感じている人々が多いのは、その溢れかえっているすべてが「自分を支配するもの」であるからだ。

だからどれを選ぼうとも、最後には虚しさが付きまとうことになる。

ではどうすればよいのだろうか。

仕事も恋も人間関係も、また人生そのものはいったいどうして、満たされ幸せに感じられることができるのだろうか。

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