フィクションの世界(2)

さて、ここまでした話をひっくり返してしまうように感じるかもしれないが、決して社会は悪ではない。

ただ自由なのだ。ただ解放されているだけなのである。だから社会にはなんの責任もない。逆に己を見失ってその社会に翻弄され、そして社会の責任にしている己こそが、罪となる。

50年ほど前に、永山則夫の事件があった。彼は貧しい暮らしのなかで親や兄弟から暴力を受け続けて育ち、そして集団就職で東京にやってくる。だが19歳の時に拳銃を奪い連続射殺事件を起こした。

その後の獄中のなかでマルクスの資本論を読み、はじめてこの世界がどういうものかと理解し、そして激しい後悔に襲われた。

彼については考察する部分はたくさんあるけども、大事なのはあなたが彼の二の舞にならないことだ。彼の罪は許されるものではないが、ただ無知だった。もちろん育った環境の影響は大きい。そしてそれこそが「祈り」のない暮らしだったのだ。

12.

祈りだけが頼りだった前史の人々(キリスト教以後の約2000年間)もひとつの幻想の中を生きていた。固定した権力(王や領主)のもとで、何も実現が許されないという幻想を人々はみていたにすぎない。

だが新しい時代に変わり、何でも実現される世界が到来した。これがよく言われる「魚座の時代」から「水瓶座の時代」への移行であり、アセンションと呼ばれているものである。

だから現代というのは、2000年続いた西洋的支配、家父長制的な時代より以前の、つまり権力者の膝元で一生を終えていた時代よりも以前の「原始的な時代」に再び戻ったのだといえる(その前回は牡羊座の時代であるから厳密には違うのだがね、ただ独立心や開拓していくことなどのニュアンスは水瓶座に近い)。

自分で狩りに出て自由にやっていく時代、木の実や猛獣に溢れた「サバンナ」が、いまやインターネットを代表する「サイバースペース」であり、つまり自然が「その見た目を変えただけ」なのだといえる。

13.

メディアも決済もデジタル化となり、物理的なオフィスやたくさんの従業員を持たなくともビジネスが可能となった。暮らしはすべて仮想空間で完結する。またアイデアひとつでゼロから何かを生み出すことができる。

それはまさに原始民族や定住民族が、その眼前に見ていた「何かを組み合わせて作り出していく」という自由な自然の光景と同じものなのだ。

だから感じておかなければならないのは、こうして自然の本来性に回帰しているというのに、いまだ前史的な、権力にぶら下がった安心を求める生き方をしていたら、完全に取り残されてしまうということである。

どうして人生の実感がないのか。なにをやっても虚しくて、不安で落ち着かないのか。以前までは会社に勤めて流行を追っているだけで、それなりに満たされていたかもしれない。

だがいまは自分の力で切り盛りしていく時代なのだ。自分がどうありたいのかを明確にして自分の手で道を創っていくこと、その自由な意志へシフトしなければならない。それがアセンションの意味するところである。

14.

もちろん仕事や暮らしだけではなく、対人関係も恋愛も同じ。自分のあり方を見失って、ただ周囲への反応に振り回されているだけでは、ずっと苦しみを味わい続けることになる。永山と同じ道を辿ってしまう。

お金にしろ人間関係にしろ、いつでも身軽であることが第一にある。

だからいまの時点で人生を圧迫しているコスト(経済的にも精神的にも)を見直して、そして何より「どうしてそのコストに追われているのか」を知ることが大事なのである。

前回のグーグル広告や検索の話のように、その原因を追求していけばそれは無意識的に欲望させられていたことに到達するはずだ。

もちろんグーグルだけが原因というわけではなく、無意識に操られて生きていること、すなわち自分の人生を意識的にコントロールできていないことを知り、その「操りの連鎖」から抜け出さなければならないということである。

そしてまた「生活の安心」を、勤めている会社に寄りかかることによってではなく「己のなか」にそれを見出さなければならない。それがこの新しい時代を生きていくための大前提となる。

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