スマホ、ドライブ、バックミラー

数年振りに母親に会ってきたんだと
知人が話していた

彼も家庭を持っていて自分のことで精一杯で
お母さんも自分なりにうまくやっていてほしい

だが本音を言えば自分に寄りかかられると
とても面倒みきれないし自分も破綻するから
遠ざけたい気持ちがいつもあった
それで疎遠になりつつあった

今回もちょっとした用事があっただけで
電話で済ませるはずだった

だが話をしているなかで
お母さんが店員に勧められるがままに
スマホを新調したらしく
「ちいさい字がみえないのでね、
大きな画面になってよくみえる」と喜んでいたが

「じゃあ前のスマホはどうしたの?」と尋ねてみれば
「ああ、引き出しにしまってあるよ」

すると中学生の息子のボロボロになったスマホを
買い替えなきゃならず
しかし数万円もお金をだせないと困っていた彼は
「それいらないならもらいにいく」と
出費が浮くことに安堵して
さっそく週末にお母さんに会いに行ったわけだ

長いドライブの果てに再会して
喫茶店で懐かしい話で盛り上がり
飲食代はお母さんが支払ってくれると言ったが
「いいよ、半分出すよ」と
それでも彼なりの苦しい支出だったけども
スマホ代を考えてみれば構わなかった

「元気そうなあんたの顔をみれてよかったよ」

別れ際に車を走らせたときバックミラーをみれば
ずっと手を振っている母の姿に
もういいから早く帰りなよと思う自分は
それなりに気をつかっているつもりでいた

そんな親子の時間を再び離れて家に戻り
彼は充電切れのスマホを通電させて
まだ綺麗な本体に幸運を感じていたが
しかし近年の事情に疎かった彼が
そのスマホは新しいOSやアプリに対応していない
古いものだと知ったのはしばらく経ってからだった

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