私たちとはそもそも何なのか(4)

さて最終回に入ろう。これから文中に度々出てくる「共同体」だが、それはあなたの内側につくられるものだということを忘れてはならない。人々は己の内的な宇宙、すなわち愛の世界を失うから外の闇(無意識の悪の世界)をさまようのだ。

労働、創造、共同体としての活動

この連載で最初にあげた「労働」というのは、見返りを求めない「やり切り」であると話した。労働とは無限の放棄であり、なにを放棄するのかといえば「自分(個我)」なのだ。つまり内的な共同体を形成するには、常に自分を放棄し続けなければならない。

なぜならその内的な宇宙は、あなたが主人公ではないからだ。あなたはその宇宙空間そのものであり、自分という個人が存在する以上は、それは外の闇の世界(無意識の世界)にいることを意味する。なぜ自分が「作られる必要」があるのかを考えれば瞭然なことだ。良かれ悪かれそれは抵抗でしかないのだ。

次に「創造」とは開花であると話した。それは無意識に流されて感じていた恐怖や不安の世界に光を見出すものだ。そもそもこの宇宙は善悪の区別を持っておらず、あなたが笑おうが苦しもうが、サイクルしていたらそれでオーケーなのだ。ゆえに望みの世界は望む者の見る夢なのである。つまり「創造」によりその闇のなかに現れた光の世界こそが、「あなたにとっての」平安に満ちた愛の空間となるのだ。

ここまででわかる通り「労働」と「創造」がある時点で「愛の空間」がすでに成立しているように思える。だがまだ大事なポイントが抜け落ちている。それを見落とすと光はすぐに消沈してしまう。そのポイントこそが「共同体としての活動」の理解へと繋がるのだ。では以下に続けよう。

安住の地を目指す

あなたがその人生で目指すべき大地とは、どこかに上陸して周囲に気を使いながら、自分のエリアを確保したような場所ではない。あなたが暮らすのは四方どこまでも広大に広がる「あなただけの世界」なのだ。それが安住の地である。

よくハリーポッターの作者を例にあげるけども、彼女J.K.ローリングは自らが本に描き出した世界のなかで、その作者である自らの人生を暮らしている。つまり夢が現実になったというわけだ。それは自分の手で世界を作り出したということであり、その世界には彼女の望まないものは何一つとして存在しない。なぜなら彼女がその楽園の創造主、つまり神であるからだ。

仏教という世界観を生み出した釈迦もそうであるし、巷で売れているような音楽グループもそう、オリジナルにとことんこだわる自動車メーカーも、あなたの着ているファッションブランドだってそうだ。すべては神々が自らの手により作り出した世界なのである。

オアシスの場所

ここであなたは思うわけだ。「この競争社会で彼らは運が良かっただけだ」とね。そう、外の世界にそれを作り出すことは大変な努力と忍耐、そして運が必要である。それらが融合することで完成される。詳しくは後述するが、言ってみればこの社会の中で「成功」することは不可能なのだ。

私も人生に困窮していたとき、焼け付く日差しの広大な砂漠でふらつきながら歩いていた。愛する家族のため、そして自分が生まれてきた意味を見つけるため、誰も発見していないオアシスを探し求めているような様子にあった。

世の中をみれば、成功している人、安定している人、楽しそうに生きている人、そんな姿ばかりが目にはいる。だから私もそうなろうと歩き続けていた。だがそれはある間違いに気づいていなかったのだ。

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