誰もいない惑星で暮らしはじめる

全体とひとつになるということについて可能な限り理論的に話してみよう。

「全体とひとつになる」ということは、意識が自我ではなく全体と同化しているということである。それは全体に「還る」ということだ。自分や他者という分け隔たれた区切りを崩壊させて、ひとつに還るということにある。

自分や他者についてあれこれ考えているようでは、いつまで経っても全体のなかで孤立した自分に閉じ込められたままだ。つまり全体を感じるには、自我が落ちていることが必須となる。

 

求めずに受け取る

だがそれを頭で実行しようとしてもできない。自分が消えるなんていう「意味」がわからない。それはその通りであり、意味を求めること自体が全体から切り出されてそこに出現しているのだから、その意味を知る「自分」も同時に生み出されてしまう。

ゆえに意味が葬られた様子、「無・意味」に至るには、それを求めては到達せず、逆説的なルートを辿らなくてはならない。つまり「あれもあるし、これもある」という「ある、ある」の世界を通じて、「それらはなぜあるのか」という問いの向こう側に広がる無限の空間を察するという流れとなる。

 

無人の世界に降り立つ

そこでまずは「誰もいない地球」をイメージしてみよう。全人類がいなくなって数万年後、どういうわけか、あなたひとりだけが生存している。人工的なものもない。スーパーマーケットや調理器具といった道具も存在しない。建造物もなく、ただジャングルや平原、そして海岸が広がっている。空気や水、植物はあるから、うまくやれば生きていくには困らない。素っ裸で歩いていてもまったくOK、そんな無人の世界だ。

イメージできたかな。

あなたはそこで暮らし始めるのだけども、ここが重要だ。「誰もいない地球」というのは、文字どおり無人なのであり「自分もいない」ということだ。ゆえにあなたが「無人の世界での暮らし」を浮かばせている時点でその矛盾がある。つまりあなたは第三者の視点での「無人の世界」をイメージしているに過ぎず、実際にその世界に入り込むと「自分そのもの」が消滅する。

「誰もいない地球」にいるあなたは、いまイメージしている自分の姿(木を並べて家を造ったり、川で水を汲んできたり、果物を採取したり)は、実際には起こらない。つまり「自分が〜をする」が消えるのだよ。

 

他者に囲まれた世界

それはなぜかといえば、日頃私たちが常に「他者を意識した世界に生きていること」の延長で、その無人世界の暮らしを浮かべてしまうからだ。その拘束力はあなたの想像以上のものだ。たとえば部屋で自分がひとり楽しんでいるとき、それは「楽しんでいる自分」を評価しているのであり、第三者的な視線がある。その視線は常にあなたを監視している。なぜかといえば、それだけ私たちは他者の存在を前提としたなかで生きているからなのだ。

つまり「自分」とは「他者のなかで見出されたもの」である。「楽しい」という自分の感情でさえも、無人の世界では感じることはできなくなる。

だがそれは寂しいことではない。なぜならその他者世界で感じていた「楽しさ」とは偽りのもの、つまり楽しいと「考えていただけ」に過ぎないからだ。

 

イメージだけで世界は生成されている

他者の「効果」はそれだけではない。たとえばあなたがいま「世界が存在していること」を感じられているのは、他者がいるからだ。自分が見渡せない場所、会社にいるなら隣の部署だとか、外の街の様子だとか、どこかで行われているイベントだとか、仕事の顧客の暮らしだとか、そういった「イメージ」があなたの世界を作り出している。つまり他者がいるから、世界が広いのだ。もっといえば、他者がいるから世界があるのだ。

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