人間を知る(2)
人は時に争い
時に分かち合う
だがそれらの心の根源には
いつもジレンマがある
美しいものをみても
その素晴らしい気持ちを
完全には表現できず
笑っているときも
解放を完全に表現できない
愛する人を前にしたところで
自分の愛を正当化する「理由」しか
愛することができない
神話は幻想を与えるけども
それはダイレクトな感触ではない
つまり私たちはこの現実において
直接的には何も触れることができないのだ
なぜなら人間というそのものが
「神話のなかの存在」であるからである
人間も世界も実在しておらず
私たちはこの不在の世界で
「何かをしているつもり」でしかない
その「つもり」だけが
人間の一生なのである
他人も動物も植物も岩も川も
すべては人間の神話のなかで
名付けられたものでしかなく
その「名」を愛そうとしても
実体がないのだから無理な話なのだ
ゆえに間接的な方法でしか
本当の愛を感じることができない
それは文体の行間だったり
描かれた絵画の背景だったり
愛する何かが「失われたあと」だったり
だからこの抜けられないジレンマを
まずは受け入れなくてはならない
誰も神話のなかでは真に幸福にはなれない
どれだけ金持ちになろうが
どれだけ理想の暮らしを求め得ようがね
かといって神話を出てしまえば
それはとても生きていける世界ではない
4.小さな地球
じゃあどうするのか
それが前回話した「慈悲」なのだよ
慈悲が開く「静寂の次元」とは
人間の神話世界や無秩序な生物世界を
遥か外側から包み込む様子にある
それまで心に宿っていた個別の意識は
大いなる意識のレベルに到達する
すると世界は内在的なものとなる
つまり外側に広がっていた世界が
自分の内側に広がりはじめる
1968年、アポロ計画で月の地平線から
地球が昇るのを目撃したジム・ラヴェルは言った
「立てた親指に地球がすっぽり隠れたとき
人生観が完全に変わってしまった」
人類の膨大な歴史や苦しみのすべてが
自分の小さな親指の向こうに隠れてしまったのだ
これまで苦悩してきたこと
愛情を注いできたこと
過去や将来について考えたこと
そのすべては1cm程度の球体に
閉じ込められていたものに過ぎなかった
あなたもその場にいたらどう感じただろう?
これは「単なる考え方のひとつ」ではない
静寂の次元に到達するとき
それがどれほどのことなのか、
自分を通じてこの世を眺めている
その大いなる意識の「偉大さ」を痛感するだろう
そうしてわかるはずだ
「誰も神話のなかでは真に幸福にはなれない」
まさにその通りであり
真の幸福とは神話を外側から見出すこと
すなわち
「自分の手で現実を創り出していけること」
にあるのだ
人間だからその「特権」があるのではない
世界に「自分」がいるのも
人々や動物がそこに見えるのも
青空があるのも
この話をいま聞いていることも
すべてが神話のなかなのだ
つまりあなたは「誰」なのか?
慈悲とはその「問いの次元」に
到達するということだ
自然の世界の原理について
執拗に話してきたのは
己の不死性や全体の連動性といった
大きな生命の原則について理解してもらうためだ
つまり最初から恐れも失うものもない
いつも安全のサイクルの中にいる
あとはあなた次第で
いくらでも自由にやっていけるということだ
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