誰もいない部屋
著名な学者の死後に
その人が独り言のように残していたメモがみつかり
やがて出版されることがある
彼は部屋でひとりそれを書いていた
今日あったことや
生活上のちいさなこと
たとえば服のほつれをなおさなきゃとか
もちろん考えていたことや
深い思索がときおり書かれてある
だけどもその独り言
誰も知らないところで語られていた思いや
そのつぶやきは
いったいなんだったのだろうか
メモがみつかったことで
ひとつの世界があったことがわかる
眠る前に窓越しに月をみたことがあった
薄暗い部屋に差し込む朝の光をみて
目を覚ましていた
飼い猫にいつもと同じを言葉をかけてやり
着古したいつもの服に着替える
そんな彼だけの世界がそこにあった
だが彼はもうどこにもいない
じゃあそこには何が存在していたのか
Notes あなたの世界, あなたの正体, 人生, 存在, 幸福, 悟り, 真実, 自由
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