大通りにて

ある人が
自分にとって最も苦手であり
恐怖さえも感じていたある事柄を避けるために

それと関わらない別の道を選び続けてきた

しかしその道を選んだがために
普通はしなくてもいいような苦悩や努力を
背負い込むことになった

それでもその人は
いまの道の方が良いと思っている

もちろん恐ろしくないからだ

そればかりか
その恐ろしい道を歩いている人たちを
愚かだと軽蔑さえしていた

彼らはいつか悲惨なことになるはずだとね

 

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とはいえその人が選んだのは
誰も歩いていない道だった

慰め合う仲間もいないし
先に歩いてくれた誰かの足跡もない

だから自分ですべてを解決しなければならないが
その解決も正しいのかさえわからない

「正解をみつけたぞ」と満足するときもあった

でもそれは自分のしていることを
ただ正当化したにすぎず
そんな繰り返しだがら
またすぐに壁にぶつかってしまう

どうやってもうまくいかない自分の道を
気持ちをどうにか前向きにさせて捉え直してきた

「己のだめな部分を直さなきゃ
うまくいかないのは当然だ」とか
「きっとまだ気づいてないことがあるんだ」とか

そうして自分を叱咤しながら
どうすればうまくいくのだろうかと考え抜いては
さまざまな方法やアプローチを生み出してきた

ところがそれらは
100メートル上空からいかにして
針の穴に糸を通すかのような
そんな目的に対してのいろんな手段やアイデアを
捻り出していたようなものであって

理論的には優れていても
その目的自体がそもそも困難だったゆえに
どうやったところでうまくはいかない

だがうまくいかないのは
未熟な自分の非力さのせいだと思っていた

「どうしてこんなに辛いのだろう?」
「だが他の人たちも同じなんだろう」

そうやって自らに言い聞かせながらも
しかし横目にみる人たちは
明らかに気楽そうに思えて
なんだか腑に落ちない日々を送っていた

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