海とクラゲ

無意識のうちにしてしまった、ということがよくあるだろう。いつもの行為が自動化されて知らずのうちにそれを行なっている。だからあとになって「ちゃんと鍵しめたかな」とか「ああ、今日はあそこであれをしなきゃならなかったのに忘れていた」となるわけだ。

さてそういったものを一般的に無意識と呼んでいるが、本書で言っているのはもう一段根の深い部分のものとなる。つまり本当の無意識はそのことであり、いわば「人間」はその無意識のなかにのみ存在し、そして人生という夢をみている。

どれだけスピリチュアルや宗教に熱心になっても何も現実が変わらないのは、自分がずっと眠っているということに気づいていないからだ。そのような眠りのなかで瞑想をしたところで、それは瞑想のふりをして眠っているだけでしかない。あなたは眠ってなどいないと言うがね。

今回はそのなかなか気付くことのできない「根源的な眠り」について、そしてそこから目覚める方法について話を進めよう。

 

通り過ぎる言葉

ところで人間同士とはどれだけ親身に、そして深く語り合っても言葉で通じ合うことはできない。通じ合えているのは、言葉ではなく別の領域でつながっているものがあるからだ。

なぜ言葉で通じ合えないのかといえば、それぞれが持っている「観念の土台」のうえで「各々が頭のなかだけの思考のやり取り」をしているからに他ならない。

たとえば今私がここで書いていることを、あなたはあなたなりの認識と判断で解釈する。もうその時点で私のなかの意図とはまったく別の次元にある。あなたが「だって明らかにこのように書いているじゃないか」といったところで、それはあなたがそのように読んでいるにすぎず、私はまったく違うことをあなたに伝えようとしているということだ。

「じゃあそのまったく違うことは何か」と私から詳しくそれを聞いたところで、それもやはりあなたなりの判断で解釈してしまう。それはもちろん私も同じである。だが私はその「観念の土台」という無意識性があることを知っている。それを知ったうえで世界とやり取りをしている。「表面的な言葉」の無意味さをわかっているから、そんなところにこだわったりはしない。

 

言葉という型抜き

言葉は世界を創造してくれるが、それはあくまで言葉が「自発的」に用いられている場合によるものだ。

そもそも言葉はなぜ発せられるのだろうか。他者とのコミュニケーションのなかで、なぜ言葉が交わされるのかについて不思議に思ったことはないかな。

言葉が発せられるもとにある「伝えたい」という感覚は、あなたを通じたその背後に広がる無限の空間の波動にある。それが「あなたの型抜き」を経て言葉という形に変えられる。

つまり捏ねられたパン生地を好きな形に型取って、クマや星型に変えることができる。だけどもその形はあなたにだけ有効なものであり、他人はそれがクマや星だと見ることはできない。その人にはその人の持つ型取りがある。彼はそれを通じてその様相を眺めている。

 

眠りのなかにいることに気づいていない

よってあなたが誰かと口論になったとき、言葉で相手を説得することはできない。相手が納得した様子を見せても、それはその相手なりの受け取り方でそうしているだけだ。すぐにまた同じズレが起こる。つまり最初から別々の空間にいるのだ。そこに他者の姿を認識しているとき、あなたはもうその他者と融合することは決してできないのである。

それがどんなに親しい間柄であっても、愛し合っている恋人同士であってもそうだ。その表面的な言葉で繋がり合うことはおろか、物理的に手を握ったところで己は自分の手の感触を得ているだけでしかなく、愛するその人を一瞬でさえも触れることはできない。

つまりこの「観念の土台」を自分が持っていることにまずは気づかなくてはならない。そうでなければ他者とも自然とも、真にわかり合うことができない。そしてなにより、いまのあなたの人生を変えることも不可能となる。つまり自らが「当然」としているこの土台のうえにいることこそが、あなたを強力に眠らせている無意識性のことなのである。

 

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