みえない敵には勝てない

日頃起こり得ないはずの
“奇妙な偶然”というのは続くものでね

だがそうして続いてしまうことで
ありもしない黒幕を心に作り出してしまう

たとえば先日知人の女性が
新しい冷蔵庫やエアコンに入れ替えて
最近のはスマート家電といって
無線LANとつながり
様々な情報をスマホに送ることができるんだが
ところがその日を境に
パソコンがフリーズしたり
スマホのアプリが突然消えていたり

そうして不安でいるときに
スマート家電はハッキングの的になりやすいという
ニュースをみたりして疑心暗鬼になってしまった

自分の姿がパソコンやスマホのカメラから
覗かれているのではないか
盗聴されたりデータを抜き出されたり
してるのでないかとね

さらには普段はセールスマンなどこないのに
やけに呼び出しベルが鳴ったり
いつもならありえないような嫌なことが
頻発するようになり

つまり家電を入れ替えたせいで
パソコンやスマホのレンズから
得体の知れない相手に覗かれているという
疑念に囚われているようになったわけだ

 

結果と原因が入れ替わる

もちろん本当のところはわからない

たまたま家電を入れ替えたことと
パソコンの不調が重なっただけかもしれないし
スマホもカバンやポケットにいれていたら
稀に誤作動してしまうものだからね

だがこの話で重要なのは
まさに家電を入れ替えたという
普段ないようなことが
かならず槍玉にあげられ
そして”そこから”
恐怖が作り出されるということにある

まあそうだね

私たちはおなじみの毎日については
把握しているがゆえに
固執で偏ったりはするが
それでもいくつかの可能性を見出すことができる

だけども今回のような真新しい出来事については
「あんなことをしなければよかった」と
ただひとつの原因だけをみて
他の原因をみつけようとはしない

だがその観点に立ってみれば
冒頭で話したような
「日頃起こり得ないはずの奇妙な偶然は続く」
というのは実は錯覚であることがわかる

「ずっと不幸続きだ」と嘆くときもそうだが
それらが奇妙な偶然であるのは
ひとつの原因テーマのほうから
逆向けに眺めているからだ

それはもはや”原因”ではないだろう

自ら作り出した結果テーマから
“それを構成する諸々の原因をみている”のであって
つまり個々の物事に対して
不幸や奇妙だという意味付けを
自分で与えているにすぎない

この気づきは重要でね
なぜなら結局すべては偶然でしかないわけで
それゆえどんな事柄も
それ単体では大した力を持っていないと
わかるからだ

そしてそれは同時に
偶然など実はひとつもないということでもある

あとで話すように
人生の経験のすべては
己の「知ったこと」しかありえず

言いかえれば”人生の真実”とは
己自身が生み出しているにほからないからだ

 

彼女の勝利

さて彼女はどうなったのかといえば

一緒に点検しながら

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