不幸依存のスパイラルから抜け出す

アルコール依存やネット依存など、依存症には色々あるけども、実は「不幸な人生」や「恋愛」さえも、依存のメカニズムから生じている。つまり依存について理解することで、己が陥っている状態を軽減させたり、そこから抜け出すことができるようになる。

そこで今回は人生でもっとも重要だと思われる”脳内麻薬とその取り扱い“について話をしていこう。

脳が快楽を覚えるとき

さて依存だが、それは脳の構造にある。

たとえば甘いものやおいしいものを食べたとき、脳は快楽を覚えてまたそれを欲するようになる。この脳内で生じる「快楽」があらゆる依存の源となっているものだ。

自分の苛立たしい気持ちを爆発させるときに「快楽」を感じてしまうと、またそれを求めるようになる。もちろん日頃からそうであってはならないと自制するゆえ、ジレンマに揺れることになる。

リストカットや自己嫌悪もそうだ。自分を否定することが快楽となって、どんどん深みにはまっていく。それはアルコールやドラッグ依存になっているのとまったく同じ原理にある。

報酬系の発見

1953年にモントリオールのマギル大学にて、オールズとミルナーの両教授は実験用のラットの脳に電極を差し込み、特定の部位(ニューロン)に刺激を与えると、それを再び欲しがる兆候をみせたことを見逃さなかった。

つまり脳に強烈な快感が生まれる場所が存在することを発見したわけだ。

この部位は幅広く分布されているので「報酬系」という一括りで呼ばれる。多幸感や高揚感、爽やかさ、安らぎ、嬉しさ、喜びといった「私たちの知るあらゆる快感」が脳内のその領域が働くことによって創り出されている。

報酬系のなかで特に重視されるのが、中脳にある「腹側被蓋野」という部位となる。A10と呼ばれるので以下もそれに従おう。

同じ料理なのに味が違う

ラットの実験によって報酬系に刺激があるとき、A10からドーパミンが大量に分泌されることがわかった。

ドーパミンとは脳内の神経伝達物質のひとつで、快い感情や前向きな意欲などを生じさせるアドレナリンに変化する。

実際、豊かな人生を築いていくうえでドーパミンの分泌は必須であり、生活スタイルや食生活の工夫をするということは、それによってドーパミンの恩恵を受け取るためにあるといえる。

たとえば同じ料理でも、食器のデザインや照明の色で味が変わることが実証されている。これは気分の問題ではなく、脳の構造として報酬系が作用するためだ。

廃人化

ところがこのハッピーな脳内麻薬には罠が潜んでいる。

ラットの実験をさらに延長して、ラット自身がレバーを押せば報酬系に刺激が起こるようにセッティングしてみたところ、ラットは餌を食べることも眠ることも忘れ、24時間無我夢中でレバーを押し続けるようになった。

体が衰弱してもそれでもレバーを押し続ける。気持ちよくてたまらないのだ。やがてそのまま餓死してしまった。

これと同じ様子が、私たちの社会のあちこちで見て取れるのは明白だろう。アルコールや病み付きになる食品、恋愛感情、成功や獲得、また逆に自虐や他者への恨み、SNSなどに張り付いてしまうこと、それらはラットがレバーを押しているのと同じとなる。

依存症

依存には2つのグループがある。

ひとつは精神依存であり、たとえば酒が飲みたくてたまらない、タバコが吸いたいといった渇望のことだ。

もうひとつは身体依存となる。我慢しようとすると落ち着かなくなったり、頭がクラクラしたり、心拍数が上昇したりする。常態的にアルコールが入っているため、それが失われていくと体が異変だと勘違いしてサインを送りはじめるからである。

落ち着かせるためにまたアルコールやタバコに手を出してしまう。そうした嗜好品によるホルモンの過剰な乱高下によって精神状態はどんどん不安定になっていく。やがて鬱病や神経症を患うことになるが、その陰鬱さを解消しようとまた”報酬物”に手を出してしまう。悪循環に陥っていく。

哀れなネズミの姿がそこにある。

社会に操られる私たち

つまり嗜好品(もちろんその他のことも)で報酬系の働きが癖づいてしまい、それを保たなければならないという心理が働くのが依存症の要因となる。これがなかなか厄介であって、アルコールのCMやタバコを吸っているシーンを見ただけで、反射的に脳がいつもの高揚感を求めようとする。

つまり”頭のなかの生物”が報酬プロセスを記憶してしまい、それを求めて暴れ始める。

ニューロンの悪いパターンが形成される、言いかえれば「潜在意識に刻まれた」というわけだ。

酒や食品は24時間どこでも買えてしまい、またスマホは四六時中情報を発し続ける。まさに依存させるために社会構造があるように思えるが、それは過言ではない。

むしろそうして人々を操作することで、この資本主義社会は成り立っているのだ。

だから魅力的なCM(オシャレなタレントが楽しそうに酒を楽しんでいる映像)などには注意しなければならない。

また他人に対して苛立つ感情(爆発させてスッキリしたい)というのは、実はあなたの感情ではないのだ。知らずのうちにその報酬プログラムを植え付けられているのである。

依存を抜け出すには

だからこの誘惑だらけの状態から、重度の依存を「やめよう」という意思だけで抜け出すのは困難といえる。繰り返すが、嗜好品だけでなくあらゆる精神依存がそうである。

そこで良い方法がある。

全文をお読みいただくにはご入会後にログインしてください。数千本の記事を自由にご覧いただけます。→ . またご入会や入会の詳しい内容はこちらから確認できます→ ご入会はこちらから


Notes , , , , , , , , ,

 

コメント投稿の注意事項

 以下をかならずお読みください。
・公序良俗に反する内容、品性に欠いた文章、その他、閲覧者に不快感を与えると判断された投稿は掲載不可の対象となりますのでご留意ください。コメント欄は常時多くの方が閲覧しておりますことをご理解の上投稿してください。
・会員記事のコメントはログインしないと表示されません。
・会員の方はユーザー名が入ってしまうので別名をこちらで申請してください。必須。
・追記などを投稿する時は自分の最初のコメントに返信してください。
・記事に無関係な投稿は禁止です。良識範囲でお願いします。
・ハンドル名が変わっても固有idに基づき本人の同一性が保たれます。
・対応の状況によりすべてのコメントに作者が返信できるものではありません。
規定の文字数に満たない短文、英文のみは表示できません。また半角記号(スペースやクエスチョンマークなどの感嘆符)は文字化けなどのエラーになりますので使用しないでください。使われる場合は全角文字でご使用ください。
・他の利用者を勧誘や扇動する行為、誤解を与える表現、卑猥な表現、犯罪行為を正当化するコメントなどは禁止です。また全体の文脈の意図を汲み取らず言葉の端や表現に用いられた構成部分だけを抜き出してその箇所のみへの質疑や意見する投稿も当事者にも他の閲覧者にとっても無益となりますので禁止です。それら意図がなくても事務局でそのように判断された場合はその箇所を修正削除させて頂いたり、または掲載不可となりますので予めご了承ください。
・同一者の投稿は1日1〜2件程度(例外を除く)に制限させていただいております。連投分は削除させていただきます(コメント欄が同一者で埋まり独占的な利用になってしまうのを防止するためであり日を跨いだ投稿も調整させていただく場合があります)
・個人情報保護法により個人情報や会員情報に関する箇所が含まれている場合は該当箇所を削除させていただきます。
・投稿内容に敏感な方も多くいらっしゃいますので、暴力的な表現など他の利用者様へ影響を与えそうな文面はお控えください。
・意図的であるなしに関わらず、文章が途中で途絶えているものは掲載不可となります。もし誤って送信された場合は早めに追記として再投稿してください。
・マナーを守らない場合は規約違反となります。また他のユーザーや当事業部、作者への中傷や毀損と思われる言動は会員規約に則り強制退会および法的措置となりますのでご注意ください。
・投稿者による有料記事の大部分に渡る引用は禁止しております。
・スパム広告対策にセキュリティを設定しております。投稿後に承認待ちと表示される場合がありますがしばらくすると表示されます。また短時間の連続投稿はスパム投稿とみなされるため承認されません。時間をおいてください。
・コメントシステムはWordpressを利用しておりますので他でWordpressアカウント(Gravatar)を設定されている場合、アイコン画像がコメント欄に表示されます。会員登録されたメールアドレスで紐づきますので、もしアイコンを表示させたくない場合はお手数ですがこちらより涅槃の書の登録メールアドレスを変更してください。

  1. A より:
    コメント交流をご覧いただくにはログインが必要です。
    • 涅槃の書-自分 より:
      コメント交流をご覧いただくにはログインが必要です。
  2. A より:
    コメント交流をご覧いただくにはログインが必要です。
    • 涅槃の書-自分 より:
      コメント交流をご覧いただくにはログインが必要です。
    • A より:
      コメント交流をご覧いただくにはログインが必要です。
    • 涅槃の書-自分 より:
      コメント交流をご覧いただくにはログインが必要です。

コメント・質疑応答

  関連記事

-->