みえない世界で暮らしはじめる

他人の親切というのは大抵の場合
直接にはみえないようになっている

これはとても大事なことなので
よく覚えておこう

たとえばあなたが車を運転していて
大型のスーパーに立ち寄るとき
駐車場の空いている枠に停めるわけだが

その空き枠は実はあなたの前を走る車が
譲ってくれたものかもしれない

もちろんその車もあなたと同様に
すぐにでも停めたいところだったが
向こうにも枠があるから
自分はそこまで頑張ろうと譲ってくれた

こうしたシチュエーションは
明らかにそれがわかるときと
わからないときがある

わかるときは
当然「ああ親切にされた」とわかる

しかし「わからないとき」というのは
まさに「わからない」わけで
まさか誰かに支えられていたなんてことを
あなたは知らないんだ

家の玄関を出るとき
近所の人があなたの家の前のゴミを
拾ってくれていたかもしれない

あなたの朝の気分が壊されないようにと
誰かがあなたの家の前のゴミを拾ってくれた

だけども玄関を出たあなたは
そんなことを知らない

知ることなどできない

ただ清々しい朝だと感じているあなたがいる
1日のはじまりが
“害されることなく”そこに開いている

そのように視点を拡大してみれば
電気やガス、水道、交通機関
ゴミ収集や都市計画などの
インフラの設備や運営に携わる人たち
もちろん街の商店にしても
すべての仕事、つまり社会活動そのものがそうだが

「人々に快適な暮らしを実現させたい」という
切実な思いをもった人たち
すなわち「人々を愛して働いている人たち」が
いたりするだろうことがみえてくる

だが実際そうなんだよ

もちろんそうした人たちは
「自分のできる範囲」でその思いを放つわけで

そしてそれはあなたに”自由”を与えて
「ありがとうございました」と
直接感謝を述べてもらうためではなく

むしろその逆であなたが
少しでも不自由を感じなくするため」に
自分のできることを提供しているんだ

だから玄関の話と同様に
「親切」は直接にはなかなかみえないんだね

つまりそれこそが
“愛に基づいた行動”の根本にある

愛とは存在の個別性を
超えること”そのもの”であるゆえ
ゆえに「個」からは触れることができないんだ

ところが「不親切」というのはよくみえるだろう

不親切ばかりがみえて
世知辛いとか人間は最低だとか
感じているかもしれない

しかしそれはあなたが
「みえる世界」にのみ留まっているからにあるんだ

 

みえる世界で暮らしているあなた

さて「親切」は
なかなか直接にはみえてこないわけだが

そもそも「親切」というのはそういうもので
たとえば親切という言葉の意味をみてもわかる

もちろん「親を切る」ではない

辞書を開いてみれば
相手の身になって
その人のために何かをすること
思いやりをもって人のためにつくすこと、とある

つまりその相手に「親」しみをもって
その相手の幸せを「切」実に願うことにあるんだ

そしてそれは決して相手に
「知らしめる必要はない」ということでもある

なぜなら
相手を自分のことのように感じているからであり

つまり親切な人というのは
個別の意識世界である小さなシャボン玉を超えて
その無数の魂を包んでいる大きなシャボン玉に
意識がシフトしている様子にある

だからこそ親切は
小さなシャボン玉からはみえない」のであって
個が個であるために全体に反発する様子ばかりが
映像として表示されることになる
つまりそれが「他人の不親切」として
“己にのみ”現れてくる

だから「親切は直接みえない」というのは
たとえ目の前の人が親切なことをしてくれても
素直にそれを受け取ることさえできず

あなたのシャボン玉のなかで
それが改変されてしまうことも影響しているわけで
「所詮自己満足だろう」とか
「引き換えに何か求めらてるんじゃないか」とか
その人の行為があなたの行為に変わってしまうこと
その一因にある

そうして親切は「ますますみえない」わけだが
しかしあなたがこうして存在していること自体
すでに感謝のなかにある
(大きなシャボン玉に包まれている)ということなんだ

わかるかな、親切はいつもあなたの前に
当たり前に開いているわけで
だからこそあなたは”毎日”を過ごしている

玄関を出たあなたが
良くも悪くも「特になにも起きていない」ならば
もうそれは親切に包まれていることの証しなんだね

 

みえない世界で暮らしはじめる

さてここに「これはとても大事なこと」と
冒頭で記した意図がある

たとえばあなたが誰かに親切にするとき
それはどういう心境のときだろう?

それはあなたも誰かの親切を感じたときではないかな

あなたの玄関前のゴミを拾ってくれた
顔も名前も知らないその人は
己を包む親切を感じているからこそ
自らも親切をしようという気分にあったんだ

先日ある書店で購入したとき
同じ階にあるわりと高い値段のカフェの
無料コーヒーチケットを1枚もらった

それは購入金額に応じてもらえるのだが
妻といたこともあって
「2枚もらえたらね」と笑っていたら

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