湯呑みを置いたとき
何十年、あなたと暮らしている母が
ミカンをむきながらこう言った
「実はあなたの本当の親じゃないのよ」
一瞬呆気にとられる
「‥え?」と声を出せるまでの
ほんの束の間の空白
それが悟りである
母がそれを言った瞬間
光景が静止する
思考が追いつかないからだ
それまで当然のように
順序立てられてきた法則が成立せず
宙に浮いたような感覚に襲われる
何もかもがバラバラに外れてしまう
目の前のこの人間は何者なのか
そもそも人間とは何なのか
これまでの暮らしとは
いったい何であったのか
ここは本当はどこなのか
Notes あなたの正体, いまここ, ゼロ, マインド, 宇宙, 幻想, 悟り, 無為自然, 真実, 神秘
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