湯呑みを置いたとき

何十年、あなたと暮らしている母が
ミカンをむきながらこう言った

実はあなたの本当の親じゃないのよ

一瞬呆気にとられる

「‥え?」と声を出せるまでの
ほんの束の間の空白

それが悟りである

 

母がそれを言った瞬間
光景が静止する

思考が追いつかないからだ

それまで当然のように
順序立てられてきた法則が成立せず
宙に浮いたような感覚に襲われる

何もかもがバラバラに外れてしまう

目の前のこの人間は何者なのか
そもそも人間とは何なのか

これまでの暮らしとは
いったい何であったのか

ここは本当はどこなのか

 

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。→ . 会員登録はお済みですか? 会員について

この記事を保存・共有できます。

Notes , , , , , , , , ,

コメント・質疑応答

  関連記事

ここはイースター島
人生を大きく変える力
人生は最初からエンドロール
手紙
人生の前提を捨てて自由の世界に入る
彼女は幸せだった
世界の責任を負って感情から自由になる
生物的本能で最高の気分を響かせる