どうやって苦しみを手放すか

「うっかり忘れ」がたまにあるね

だがこれはひとつの能力であり
うまく使うことで
定着している苦しい現実を変えることができる

いつも話しているように
あなたが体験しているこの現実は
あなたの心のなかがそのまま現れている

人の姿や日々起きてくる物事
それらはあなたの心にあるものが
姿や形、そして因果関係を持って
そこに現れたものだ

特に重要なのは因果関係であり
その関係性によって
あなたの世界の他者が
どのような役柄であるかが決まる

これを釈迦は因縁生起といった

つまりあなたの心の構造そのものが
いまある現実のシナリオそのものであり
先の運命をすでに描いているんだ

 

“現実の構造”をリセットする

ゆえに心が苦い思いを握ったままだと
ひとつ過ぎ去っても
ずっと似たような苦しみが出現し続ける

だから”シナリオ”を変更しなければならない

そこで「心を解放して手放しなさい」と
よくいわれるけども
それはつまり「忘れる」ということにある

「忘れる」という作用は実に奥深いもので
いまも”膨大な記憶”を
あなたが忘れてしまっているように
忘れるとはもうそれは存在しないことを意味する

真に忘れていることは思い出すこともできない
忘れていることさえ忘れているからだ

言いかえれば「忘れる」とは
この現実を形成している信念構造(因果法則)を
リセットすることにある

たとえばバットとグローブがそこにあるのは
「野球」という信念構造のなかで
それらをみているからにある

しかし野球という構造が解放されるとき
同じそこにあるのは単なる棒と手袋になる
それは無限の可能性の状態であり
たとえば布団たたきになったりもする

もちろん布団たたきになっている時点で
すでに”違う構造”で
この世が眺められているということだ

この原理を日頃関わっている人々や物事に
置き換えてみよう

 

“忘れていること”はいまも膨大にある

ところが最大の困難が現れる

それは忘れようにも
なかなか忘れることができないからだ

なぜならその何かを忘れるためには
“忘れようとするもの”として
そこに存在していなければならないからね

これはパラドクスであり
いつも話しているように
その対応関係とはまったく別の地点
飛び出して眺め直さなければ
この難問を解消することはできない

ではどうすればいいのか?
それこそが「うっかり忘れ」にある

たとえば家族に頼まれていた用事があるとしよう

「スーパーに行ったついでに
ミルクを買ってきて」みたいな具合だね

ところが自分の買い物だけを済ませて
ミルクを買うのを忘れていた
このときあなたは
ミルクを忘れていることさえ忘れている

もちろん家に戻って家族に指摘されて
「あ、しまった」となるわけだが
こうして指摘される出来事がないかぎり
また家族から頼まれていたことを
なんらかのきっかけで思い出さないかぎり

ミルクを買うという用件は
あなたの人生において
一度も存在していなかったことになる

話したようにあなたは膨大な数の記憶を
忘れながらいまここにいる

なにを忘れているのかも思い出せない

もしそれが思い出せたなら
それはあなたが前世の記憶
蘇らせたということだ

だが今回の手記は
そこまで深く入らないようにしよう

 

忘れるときのよくある例

ではうっかり忘れるときのプロセスを
考えてみようか

実は「忘れる」のは
とてもシンプルな原理にある

このミルクの例なら
スーパーでの買い物という
慣れ親しんだ流れのなか
いつもと違う要素として入り込んだからにある

いつもは自分の必要なものだけを選んでいた
「ケーキを焼きたいからあれとあれが必要だ」
みたいな思考の流れが頭にある

スーパーの陳列の場所も覚えていて
カゴに入れていく商品の順番も
大体は無意識のうちに事前想定されている

ところがミルクを買うというのは
無意識のシナリオに組み込まれていない

だからメモ書きなり
忘れず心で連呼し続けるなり

また別のことで
家族の顔を思い出していたりなど
思い出すきっかけを必要とするわけだ

 

苦しい思いを手放すには

さてこの
「用事を頼まれたけども忘れてしまった」
というケースは

いつもの流れのなかに
“それが組み込まれていない”がゆえに
忘れているというパターンだが

苦い思いを手放すのは
これを真逆にひっくり返すことで可能となる

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