あなたは何者なのか(2)

前回まで世界は心の中に浮かんでいるものであること、そして「自己意識」とは人々や物を配置する空間であり、そしてその空間を活動的なものにする時間であると話した。

空間と時間をわけているのは伝えやすくするためであるが、時間変化のなかに空間があるのであり、現実世界が生起していることと時間は不可分の関係にあるということだ。

つまりこの意味では「静止した空間」というのはありえない。あなたがそこに「いる」以上はね。瞑想の果てに感じられる静寂した領野とは、自己意識の内的な空間(時間)ではなく、その自己意識が滅却することで察することのできる広大無辺な「背景(全体)」のことである。そこは自己がないゆえに時間もない=ただ静止しているものとなる。

「全体」は人間的な観点からすれば「流れている」と表現することができるけども、それはたとえば、雲ひとつない青空と四方が水平線しかみえない静かな大海の真ん中で、そこに浮かぶ船が自分が実は潮に流されていることを認識できないように、「流れ」とは「流れていない何か」を基準としなければ実現されない。つまり相対的なものである。

ゆえに、あらゆるすべて(=全体)が「一体として同時に流れている」とき、それは静止なのだ。大海と船が常に「今、今、今、」と持続されていることは永遠なる「静止」であり、だが分離した視点で客観的にそれを捉えようとするときに「流れている」のである。

あなたが経験している「時間世界」とは、全体から分離した視点、つまりその船の上での活動のことであり、船上でどのような正論や矛盾に直面しようとも、大海はただ流れている。大きな視野においてはすべてが「正しい」のである。

大海とひとつでないときに船上という時間(全体との差異)が起こるのだ。それが分離であり、分離が時間を生み出し、あなたはそこに現実という幻想をみるのである。

1.

さて本題に入ろう。現実をみるのはいいが、あなたはなぜ「このような現実」がみえているのか。つまり「船の上の掟」になぜあなたは縛られているのかということだ。

これを理解するには、これまで生きてきて備えている視点を180度ひっくり返す必要がある。前回に話したように「あなたが時間である」ということ、つまりあなたが「経過」しているから「すべてが存在している」ことを、まずはしっかりと意識を向けなければならない。

すこしおさらいをしておくと、目の前に何かが「ある」のは時間の経過があるから実現しているものであり、時間が経過していなければそれは「ある」ということが実現されない。またそれが「そこにあり続ける」という持続性も、また物事が「変化していくこと」も時間経過が必要となる。

今回重要となるのは「変化していくこと」の部分だ。これがあなたの船上の掟を制定しているものとなる。

変化というのは動きのことであるのだけども、そもそも動きとはなんだろうか。

パラパラ漫画のキャラクターが動いているように見えるのは、連続した時間によるものであるが、当然ページを止めると動きも止まる。

またそのキャラクターがボールを投げて窓ガラスを割ってしまうシーンがパラパラ漫画で描かれているとき、投げたことと割れたことの「因果関係を結ぶ」のは、やはりページの進行=時間経過であることが前提となる。

2.

この因果関係を「結ぶ」というところに注目しよう。つまり結ばれなければ因果は成立しないということだ。パラパラ漫画の1ページ目と10ページ目だけを見比べてもその繋がりはなく、まったく無関係な別々の光景がそこに現れているだけであることが判明する。

たとえば蛇口を捻ったら水が出るとあなたは「知っている」が、時間の進行がなければそれらは別々のものであり、経過ゆえに一連の現象として受け取ることができる。つまりあなたが時間の主であるとき(パラパラ漫画をめくる者であるとき)「蛇口を捻って水が出る」というのは、あなたがそう決めているルール(法則)なのだ。あなたがそれらを繋げたものとして見ているから「蛇口を捻れば水が出る」のである。

別の例なら、あなたが歩道で信号待ちをしているとき、目の前を車が走っていく光景がある。あなたはこれまで「車が走っている」とそれを外部の現象として受け取ってきた。つまり自分の認識はその対象に従っていた。

だがそうではないのだ。対象があなたの認識に従っているのである。

車がA点からB点に向かって走っているという光景があるとき、それはB点にいる車が以前A点にいたという「原因」を想定している。そうした自動的に脳内でスイッチオンとなる「確固たる法則」ゆえに、それらは連続している(=走っている)と認識するわけだ。

つまり因果関係とよばれる法則を「あなたが適用している」のである。

またさらには、A点にいる車がB点に「向かうだろう」という可能性の法則も同時に見ている。つまり車が走っているのではなく、常にあなたが車を「走らせている」のだ。

そんなバカなと思うだろう。だがすべてはあなたの意識の中での現象であり、その掟の主はまぎれもない、あなた自身なのだ。

3.

目の前の車は「あなた」が走らせている。あなたがそのような法則を基にそれを見ているから、本来は別々の物事(パラパラ漫画の別々のコマ)に適用されて、それらが結合し、そしてその適用された現象をあなたは自分の現実世界としてみているのである。

なぜそれが可能なのかといえば、そのバラバラなコマを統合している空間があなたであるからだ。つまりそうした様々な現象がひとまとめになっているのがあなたという意識空間なのであり、意識はいくらでもそうしたバラバラの現象に「意識を向けること」ができる。

このように逆転した視点を持っていないと、どのような法則を知ったところで、その外部の法則を利用するか、避けるか、という話にしかならないだろう。

これがあなたが何も望みを実現できない根本的な要因となる。何も実現できないということだけが実現され続けているのである。

たとえば対人関係や恋愛の法則、成功する法則など様々なものがあるけども、それらを「うまく使おう」とするのではなく、あなたが法則そのものであることに気づくことで、それらは価値を持つことができるのだ。

もちろん今回この手記で話しているのはそうした表層上のものではなく根源的な法則についてであるから、土台そのものを正しく制御できればその上に乗っかるだけの人間世界での法則などは不要となる。

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