悪魔の鏡
鏡に映る自分が憎しみや怒りに満ちてるのは
こちらの自分がそうであるからだ
もちろんそうだね
すると鏡の自分を笑顔にするには
まずこちらの自分が笑顔でなければならない
こうした鏡の比喩は
昔からよく語れるものだけども
「この世は己の鏡である」のだと伝えている
つまり世界は心の反映であるわけだが
しかしあなたは反論するだろう
「せっかくいい気分だったのに
台無しにされることが多いです」
「こちらはなにもしてないのに
相手が勝手に機嫌が悪いときは?」
そんな感じだね
だがむしろ
そういうときこそ”鏡”なんだ
あなたはそこで
どのような選択をするだろう?
鏡に”己”が映るのはそこからであり
言いかえれば
あなたの心とは無関係な人々の姿とは
鏡を縁取っているレリーフにすぎない
悪魔の鏡
美術品や骨董品には
見事な木彫りのレリーフで彩られた鏡がある
なかにはどういう意図だろう?と思えるような
恐ろしい悪魔や怪物が掘られたものもある
鏡は世界各地で
特別な意味を与えられてきた
日本神話の三種の神器のひとつでもあるように
どこの神話でも鏡は神聖視されていた
それはもちろん
この世がなんであるのかと問う者に
その問うている者の姿をみせるためであり
願いごとを祈る者に
その祈る者の姿をみせるためにある
そうして神棚に飾られた鏡をみて
なにかを気づくことができるわけだが
しかし目線を外してみれば
鏡の周囲に広がるのは”人の世”だ
そう、いつも己が心を囚われて
さまよってる”レリーフの世界”がある
そんな魑魅魍魎に取り囲まれた鏡に
あなたはどんな自分を映すだろうか
悪魔の鏡の作者はきっと
それをみる者を呪うためではなく
その逆で
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