あなたと私はどこか似ている

人は自分に似ているものに好感を持つ

だがそれは直感的なものであって
たとえばある芸能人に似ていると言われたが
自分の顔が嫌いだから
その芸能人も嫌いというのは
直感的な好感からはすでに外れている

理屈が混じり込んでいるわけで
だがその理屈がなければ
自分に似ている人には
どことなく安心を覚えるものだ

同様にある人の考え方や趣味が
自分と似ているというのもそのひとつだろう

SNSでいうところの「いいね」だね

たとえ「へえそんな捉え方があるんだ」と
その人が自分よりも大きくみえても
そうして快を感じるというのは
自分の延長線上にその人がみえるからだ

 

和解するということ

逆にいえば
自分とまるで似ていないものには
“快”を感じることはない

どこかに似ている要素をみるからこそ
好感をみるのであって

「あの人は自分とは性格も考え方もまるで違う
ないものばかりだから憧れるんですよ」
と言ったところで
仮にその人としばらく過ごしてみたら
不快な気分ばかりになるはずだ

夫婦や家族と喧嘩するときも
「なんてわからず屋なの!」とか
「そんな子に産んだ覚えはありません!」など

まさに似ていないことを前提として
怒りや憎しみが増長するわけで
やがて和解するときというのは
再び共通点で結ばれるからに他ならない

つまり意見の違う他人であっても
譲歩して折り合いをつけるというのは
まさに似ているものをひとつでも見出すことで
互いに受容するのであって

そこを念頭にいれておけば
どんな相手との話し合いもスムーズとなる

 

本当は”ひとつ”

というわけでポイントとなるのは
違いよりも類似に好感するということだ

これは人間の本性であるけども
なぜそうなのかといえば
本書をいつも読んでるあなたなら
もう気づいているかもしれないが

口=凹凸」だからにある

つまり本当はひとつであるものが
パズルのピースのように
バラバラにみえているだけなんだ

ピースはそれぞれ形が違うわけで
似ている相手というのは
まさに隣のピースであり
お互いに手を繋ぐことができる

つまりそれは
「本当はひとつである」ということが
その類似を通じて垣間見えているんだ

もちろん離れたピースは
手を繋ぐことはできない

それでも個々のピースは
「同じひとつ」のなかの分有としてある

それゆえお互いに歩み寄ったり
相手の立場を想像してあげたり
思いやりや愛情といった
損得を超えた無償性において
ピースという断絶を超えることができるんだ

先の親子喧嘩にしても
それは元々同じひとつであることを
見失っているからであって

やがて仲直りできるのは
その背後の統一を(隔たりのないひとつを)
わずかでも感得したからこそにあるわけだね

 

幻想の世界

だから”私たち”は別々ではない

この”私たち”というのは
他人同士のことだけではなく
あなたがいまみている風景や
直面している物事もそう

部屋にはいろんな物があるだろうし
毎日いろんな空模様があるだろう
そしてまた
いろんな人生体験をしてきただろう

それらは「別々ではない」ということだ

本当はひとつのものが
“見かけ”としてバラバラになってるだけであり

たとえば朝や夜が交代に訪れるけども
それらは同じひとつの空の
見え方の”違い”にすぎないのと同じ

ここで「違い」という言葉に注意しよう

つまり”違い”をもとに捉えてしまうと
“同じ”だということがみえなくなってしまう

もちろん朝と夜を別々に捉えるからこそ
多様で豊かな生活が実現されているわけだが
それはまさに“この世”そのもの
そうして現れているということだ

街を歩けば素敵な人々がいて
あなたは羨望の眼差しを向けるし
ネットの広告には欲しいものが溢れている

いつかあのようになろうとか
いつかあれを手に入れようとか

そんな夢や目標を掲げることで
それが人生の活力になったりする

だけども本当のところは
そうした多様な豊かさは幻想であり
つまりはじめからそれはあなたと共にあるんだ

あなたはそれとひとつなのだからね

 

本願成就

それはこのように言い換えることもできる

あなたは本当のあなたを思い出すために
この多様で別々にみえる豊かな世界を
ここに眺めているわけであって

じゃあその本当の目的を達成するには
“違い”を追いかけることにあるのではなく

この世での暮らしを通じて
その向こうにある”同じもの”を
いつも見出せていられるかにあるということだ

「あなたと私はどこか似ている」と
誰に対しても物や出来事に対しても
その”類似”を感じ取れるようにね

なによりそのとき

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