ありのままの法則
さてここしばらく続けている話に関わるものだけども、この宇宙には法則があり、つまりその法則性に従うことで「求めているものは実現する」という寸法になる。だがこれを理解するには少し頭を柔らかくしなきゃならない。
まずその宇宙の法則というのは人間からみた「捉え方のひとつ」であり、そもそも人間がそのように捉えていること自体が宇宙の法則に流れているということにある。たとえばゴーギャンの絵に代表されるような「なぜ生まれてきて、なぜ生きて、どこへ消えていくのか」という形而上学的な問いを私たちは常に抱えているのはそのためだ。
そうしたことに問うという「宿命」を背負っているのは、それは私たちの存在がその問いそのものであるからなのである。
たとえば花は朝になれば開く。風や他の生物がその種子を遠くへ運ぶ。そして種が落ちた場所で新しい芽がでてくる。ここで植物は「なぜ私はこのようであるのか」と問うことができる。だがそれは「そういうものだから」としか言いようがないが、これと同じことが人間にも当てはまる。
つまり私たちは法則のままに生かされているのである。ある形式的な秩序のままに「流れ」ている。この流れのことを人間が「法則性」と呼んでいるにすぎない。週を7日にするだとか、3つでバランスが取れるだとか、それらは確かに宇宙的な調和にあるのだけども、それは単に「そういうもの」なのであり、己を法則の存在だと受け入れられない人間が「これが法則というものなのだ」と言っているだけでしかない。
肉体が成長したり代謝したり自己治癒したりすることも「そういうもの」であるし、何かに笑うことも他者と語り合うこともすべて「宇宙的な秩序」に流れているだけなのである。
もっといえば、その流れに自然に乗っていることそのものが、私たちの観点でいう「幸福」なのであり、それに逆らおうとするから「不幸」を感じるのだ。
1.
さてこの法則性なのだけども、私たちが生きていることにおけるすべてがこれに則っている。以前も話したが目の前で車が走っていることをみて「車が走っていると受け取っている」ことも、宇宙の原理原則がそこに現れているものとなる。
だがそれを見ている「私たちの存在そのもの」がその原理原則であるゆえに「私たちのほうから」車をそのように捉えている、つまり「私たちがその車を走らせている」ということなのである。
ここで注意が必要なのだけども、実際はその走る車もそれを見ているあなた自身も実在のものではない。そこにあるのは実体なき偶有性だけ(形や色や動きの印象だけ)である。つまりただ「流れ」がここに起きているだけであり、その法則性が車や、車をみている自分などの「光景」を自己意識という空間に浮かべているだけなのである。
だからいつも言っているように、真実は常に「逆向き」にある。
「先に」宇宙の原理原則があって、その流れのうえに私たちは自らの存在や世界をみているのだ。ゆえに私たちは自分自身について「ゴーギャン的な問い」を常に抱えているわけであり、だが問いそのものが答えであるがゆえに、その問いが答えを導き出すことはない。ここに宗教や哲学、科学や芸術の地盤がある。
「問い自体が答え」という帰結しないループは宇宙の原理原則を指し示している。ギリシアのアポロン神殿の入り口に「汝自身を知れ」と刻まれている真の理由もここにあるのだ。
2.
では宇宙の法則性とはどのようなものか。冒頭で話したように「法則性」とはその法則から離れようとする人間の見解であることを忘れないようにしながら進めていこう。
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