心の言葉を変えると世界はガラリと変わる

占いが好き、テニスが好き、それはそれらの知識を持っているということであり、そしてそれらの知識を文脈にすることで占いやテニスのことを話せるわけである。つまり占いやテニスの世界は「言葉によって作られている」ことがわかる。

占いという言語世界、テニスという言語世界があるということだ。

だからその世界を知ったばかりに喜びや苦しみが生まれてくる。

たとえばあなたがプロ野球に興味がなければ、昨晩の試合の結果で今朝の気持ちが左右されることはないし、飲み屋で敵対チームのファンと言い争いになることもない。

恋をしているなら、それは「恋愛という言語」を使っているということであり、お金について悩んでいるなら「お金という言語」の世界で暮らしていることになる。

見えてくるものも異なってくる。ビジネスに興味があるならば、街の人々の会話や流行に敏感になる。恋をしているならば、それまで気にもかけていなかった自分の髪型や身だしなみが重要な価値を帯びてくる。

あと自分ではなかなか気づけないのだけども、普段話す内容さえもガラッと替わる。これは大事なポイントなので後で詳しく話そう。

1.

近所のタバコ屋の婆さんは宇宙のことなど知りもせず、興味も持っていない。

もちろん彼女はこの地球上で経験豊かに、そして賢明に生きてきたわけだが、たとえば科学者と婆さんとでは、いったいどのように世界の「見え方」が違うのだろうか。

婆さんにとって地球は「平ら」であり、太陽は自分のタバコ屋よりも「はるかに小さな星」であり、夕方になったら向こうの山に埋まっていく。

「どこをどうみたってそうじゃないか」

科学者が婆さんに「重力」なんてものを伝えても理解するはずもない。彼女にすれば、物が落ちるのは単に支えているものがないからだ。

「他に何があるってのかい。現にそうじゃないか」と突き返すだろう。

また、冬に凍えるのは熱が除かれたからではなく「寒さがくっついたから」であり、心臓は血液を送り出す器官ではなく、他人を思う気持ちが宿る場所である。

2.

このように婆さんにとっては、日頃の実証的な経験を踏まえた「明白な常識」を持っているゆえに、科学者がどれだけ説明してもその「信念」を捨てさせることは難しい。

実は地球は丸いんだとか、太陽はとても巨大だとか、物は落ちるのではなく互いに引っ張られているんだということを「想像させること」さえできない。

科学者はお手上げとなる。

ましてタバコ屋に集まる仲間内での「世界」では、婆さんの常識は当たり前の事実であり、まったく不足のない必要十分な「真実」なのである。

言いかえれば、婆さんや仲間たちはその「共通言語の世界」で十分暮らし足りているということだ。

だからそれ以上の「必要」が出てきて常識に手が加えられるまでは、タバコ屋世界の言語は変わることがない。

3.

そうした頭の固い婆さんを小馬鹿に笑いながら、科学者は帰っていった。

そして彼は自分の研究室で、地球は丸く、太陽は巨大で、物は引力によって引きつけられ、熱が奪われて温度が下がるということを研究仲間たちと語り合う。

ところがこの科学者も婆さんと「同じ」なのだ。研究室の彼らは「自分たちの世界の共通の言語」で会話をしているにすぎない。

これは知識の大小のことを言っているのではない。科学者に「あなたも婆さんと同じだよ」と言えば、彼は怒り出し、そして自分にはまだどんな知識が足りなかったのかと考え始めるだろう。

だがそうではなく、人間は自らに対して働いている「言語の力」についてまったく無知だということだ。

どれだけ知識が増えようとも、それは”そういう言語”を使っているにすぎず、「必要」ゆえに言葉が増えてきただけなのである。

だから婆さん同様に、科学者に信念を捨てさせるのは難しい。彼は「その世界の中で存在している」からだ。

これは言いかえれば「言語」が己の世界そのものであり、それを否定するということは、己の存在や世界の認識が成り立たなくなることを意味する。

だから新しいことを覚えるときは、極力自分を「白紙」にすることが大事といえる。あとで話すけども「言語の外」に出て、完全に新しい言語世界に入れ替えたなら、それがいわゆる「パラダイムシフト」とよばれるものとなる。

すると以前悩んでいたことが「どうしてあんなことに悩んでいたのだろうか?」と疑問に思えるようになってくる。

また、以前にはまったく見えていなかったものが、目の前に現れているようになる。

4.

「でも言葉は”自由に”話せるのだから、考え方がごっそり変わるというのはおかしいのでは?」と言いうかもしれない。

後述する、といったポイントがここだね。

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  1. yuyu03 より:
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    • 涅槃の書-自分 より:
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