空っぽの世界

道路の隅に
小さなお菓子の空箱が
落ちているのをみた

真ん中らへんが
ぐしゃっと潰れて
静かに転がっている

箱がそこにあることに
意味はない
なんの意味もない

それは人間もおなじ
その箱となんの違いもない

雑草がただ生えていることの
無意味さを
雑草はどう理解できるというのだろう

葬儀で親しかった人の亡骸を前にするとき
妙な違和感にとらわれる

確かに棺のその姿は
生前のその人のように見える
だが私の知るその人ではない

その容姿や肉体が
その人ではなかったのだ

その人のすべてとは
その人が意味づけていた世界のことだった
私はその人が抱えていた
その世界と関わっていたのだ

つまり人の死とは
その人が握りしめていた意味が
解放されるということであり
目の前に横たわっているのは
もはや私の知るその人ではない

彼女はどこへいったのだろう?
いや彼女はそもそも
実在していなかったのだ

名のなき肉体はその死をもって
握っていた手のひらを開いたのだ

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  1. Miko より:
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    • 涅槃の書-自分 より:
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