働くこと、幸せに生きるということ(2)
前回からの続きとなる。
では次に、自然界の自給自足のサイクル(豊かさの循環)は、どのようにして人間世界に映るのかに話を進めていこう。
1.
たとえばあなたが原始時代の狩猟民族だったとする。毎日みんなで狩りに出ているわけだ。そうでなければ食べていけない。ところが狩で使う槍や弓といった道具がすぐに壊れてしまう。
そうなるとみんなは一旦戻って、各々の道具を修理したり新たに作り直さなきゃならない。そんな日々のなかであなたはふと、誰よりも速くそして頑丈に製作できることに気づいたとしよう。
そうなると誰もが自分でそれをやるよりも、壊れたときはあなたに預けて自分はずっと狩に出ているほうが効率的となる。もちろん良い道具を作ってくれたお礼に、狩りで得た肉を与えてもらえるようになる。
つまりあなたは狩りに出ずとも多くの肉を手に入れられるのだ。確かに表面的にはみんなのために道具を作っているというふうには見えるけども、あなたは自分のできることを自分のためにやっているにすぎない。これが自然的な人間社会の構図、すなわち「交換する生物」の原理なのである。
2.
よく「人に認められる」という言い回しがされるけども、それは誰よりも優れたマスターに送られるものではなく、自分のできることを正しく表現していることへの賞賛であるのだ。なぜならそれこそが人々にとっての価値であるからだ。
あなたがいるからみんながうまくやれる。みんながいるからあなたがうまくやれる。この人間本性の「交換し合うという性質」を頭に入れておくことだ。それがすべての基盤であり、自然界の秩序が人間を通じて表現したものなのである。
もちろん「もっと肉がほしい」だとか「この先に子供がたくさん生まれる予定だから、いまのうちに蓄えておかなければならない」だとか、そういう考えにはまると現代の資本主義社会の泥沼と同じ状態になる。資本主義は欲望がベースになっているから、その「表層上の地獄」はいつでも再現可能な危険性を孕んでいる。
3.
つまり外に対してであれ内に向けられたものであれ、欲望が人間を盲目にするわけだ。ここを押さえることができれば、あなたは「解放の扉」の取っ手にとりあえずは触れることができる。
だが実際どうだろう。生存するために労働し、労働するために生存するという日々に埋没し、それらを「一切問題としない瞬間」が「ない」から、あなたはその気晴らしに娯楽への浪費や過剰な飲食、または異性に溺れたりといったことで発散するわけだ。で、そのためにさらに労働しなきゃならない。支払いは増える一方であり、ますます逃げ場はなくなっていく。
なかなかうまい具合にできているだろう。これが資本主義というものだ。しかも経営者だけが労働に拘束されない仕組みにありながら、雇っている労働者が外部の欲望にはまって収入が必要になるほど、儲かる仕組みとなっている。
また欲望を提供するのも経営者だ。それが会社の商品であるのだから。無論、経営者自体が欲望にうつつを抜かせば会社は傾き始める。
確かに魅力的な商品やサービスで世界は溢れかえっている。世界は巨大な歓楽街といってもいい。もう地図上の物理的なスペースだけではおさまらず、インターネットとして開かれた仮想空間にまで、欲望のネオンライトがあなたの脂ぎった顔を照りつけている。
明日の労働に嫌気がさしながら、今夜もベッドで意識を失うその瞬間までスマホ画面から欲望があなたを掴み続けているのだ。
4.
だからまずは欲望の正体を見極めることだ。高額な商品をローンで買うにしろ、細かなものにしろ、その表面にはそのようなメッキが貼られているだけであり、中身はすべてあなたを自然的な状態を見えなくさせるための幻覚剤でしかない。
誰もが幻想を見続けているけども、まさか自分がトリップしているとは思いもしないのだ。だからどうにかして欲望の糸を断ち切って悪循環から抜け出る必要がある。
いつも言っていることだが「自律する」ことだ。自分の立てた規範に従っていくということだ。それはすべての欲望の中身が同じであることを見抜くことができる。酒も性的な快楽も物欲も、なにもかも同じものであり、それらの欲望をひとつ叶えるために多大なエネルギーを消耗するのだ。
つまりひとつの欲望が満たされると何かが欠乏する。その欠乏を埋めるために何かを欲望する。この連鎖の糸を切らなければならない。
5.
そしてここが本題だ。
Notes あなたの世界, お金, 世界を変える, 他者, 充実感, 幸せになる, 幸福, 循環, 生きる意味, 生き方, 神秘, 自由, 豊かさ
関連記事
- PREV
- 働くこと、幸せに生きるということ(1)
- NEXT
- この世はあなたのなかにある
コメント投稿の注意事項
以下をかならずお読みください。
・公序良俗に反する内容、品性に欠いた文章、その他、閲覧者に不快感を与えると判断された投稿は掲載不可の対象となりますのでご留意ください。コメント欄は常時多くの方が閲覧しておりますことをご理解の上投稿してください。
・会員記事のコメントはログインしないと表示されません。
・会員の方はユーザー名が入ってしまうので別名をこちらで申請してください。必須。
・追記などを投稿する時は自分の最初のコメントに返信してください。
・記事に無関係な投稿は禁止です。良識範囲でお願いします。
・ハンドル名が変わっても固有idに基づき本人の同一性が保たれます。
・対応の状況によりすべてのコメントに作者が返信できるものではありません。
・規定の文字数に満たない短文、英文のみは表示できません。また半角記号(スペースやクエスチョンマークなどの感嘆符)は文字化けなどのエラーになりますので使用しないでください。使われる場合は全角文字でご使用ください。
・他の利用者を勧誘や扇動する行為、誤解を与える表現、卑猥な表現、犯罪行為を正当化するコメントなどは禁止です。また全体の文脈の意図を汲み取らず言葉の端や表現に用いられた構成部分だけを抜き出してその箇所のみへの質疑や意見する投稿も当事者にも他の閲覧者にとっても無益となりますので禁止です。それら意図がなくても事務局でそのように判断された場合はその箇所を修正削除させて頂いたり、または掲載不可となりますので予めご了承ください。
・同一者の投稿は1日1〜2件程度(例外を除く)に制限させていただいております。連投分は削除させていただきます(コメント欄が同一者で埋まり独占的な利用になってしまうのを防止するためであり日を跨いだ投稿も調整させていただく場合があります)
・個人情報保護法により個人情報や会員情報に関する箇所が含まれている場合は該当箇所を削除させていただきます。
・投稿内容に敏感な方も多くいらっしゃいますので、暴力的な表現など他の利用者様へ影響を与えそうな文面はお控えください。
・意図的であるなしに関わらず、文章が途中で途絶えているものは掲載不可となります。もし誤って送信された場合は早めに追記として再投稿してください。
・マナーを守らない場合は規約違反となります。また他のユーザーや当事業部、作者への中傷や毀損と思われる言動は会員規約に則り強制退会および法的措置となりますのでご注意ください。
・投稿者による有料記事の大部分に渡る引用は禁止しております。
・スパム広告対策にセキュリティを設定しております。投稿後に承認待ちと表示される場合がありますがしばらくすると表示されます。また短時間の連続投稿はスパム投稿とみなされるため承認されません。時間をおいてください。
・コメントシステムはWordpressを利用しておりますので他でWordpressアカウント(Gravatar)を設定されている場合、アイコン画像がコメント欄に表示されます。会員登録されたメールアドレスで紐づきますので、もしアイコンを表示させたくない場合はお手数ですがこちらより涅槃の書の登録メールアドレスを変更してください。