彼岸の空

朝早くに庭に出てみると
茂った緑のなかに
なにやら茶色いものがぶら下がっていた

なんだろうと近寄ってみてみると
トンボが眠っていた

ああもうすぐお彼岸の時期だなと
故人たちの顔を思い出す

私に気づいていないのか
それとも私が通り過ぎるのを待ってるのか
そのままぶらさっていた

邪魔しちゃいけないなとそこから離れて
ふと振り返ってみれば
もうどこかに飛び去っていた

 

温もり

トンボの寿命は1ヶ月から2ヶ月
彼はその間存分に生きる

この広い世界で
命尽きるまで存分に生きる

短い一生でかわいそうだって?

そんなことはないよ
もしかすると人間の私たちよりも
生きた時間は長いかもしれない

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