はじめから白旗をあげる

人と関わると
最後はいつも嫌な思いをしてしまう

そんな相談が多いのでこちらで答えておくよ

よくあるケースとしては
はじめのうちは調子よく話していたのに
だんだん相手に飲まれてるような感覚になって
とても疲れてくる

つまり相手のほうにペースがあり
自分がどんなに明るい応対をしていても
結局それは相手に振り回されてるわけで

そのことに途中で気づくときもあれば
相手と離れてから気づくこともある

そうして相手に振り回されているがゆえに
言わなくてもよかったことを
つい口にしてしまったり
ありもしない見栄をはってしまったり
またひとつの嘘をついたおかげで
その後たくさんの嘘をつかなければ
ならなくなったりする

そんな自分を振り返ってげんなりしてしまうわけだ

さらにはその「嫌な気分」の矛先を
相手のせいにしたりもする

だがそれは大いに間違えていて
自分がペースを持たずにいたからであり
だから相手の問題ではない

つまり話さなくてもいいようなことを
ペラペラしゃべった自分が恥ずかしくなり
「きっと相手に小さい人間だと思われてる」と
妄想していること自体が
疲れを生み出している最大の要因にある

 

倒れていれば倒されることはない

では自分のペースを保って
「嫌な気分」にならないためには
どういう姿勢が有効なのだろうかといえば

それは
はじめから白旗をあげていることなんだ

いいかい
人との交流において
あとで嫌な気分が残ってしまうのは
どれほど調子のよいスタートだったとしても
はじめから自分のペースではなかったわけで

つまり心のなかには
「自分をよく見せよう」とか
「自分を理解してもらおう」といった
魂胆が握られていた

それは裸の自分ではなく
嘘の自分を相手にみせつけようと
していることにほかならない

言いかえれば
「ありのままのあなた」をみようとする相手を
否定しているんだ

よって大事なのは
「相手を否定しないこと」にある

だがこの意味は後述するように
相手の言いなりになるということではない
基本的な心の姿勢のことであり
相手の”存在そのもの”を尊重すること

つまり相手に嘘をつかないということだ

相手を否定しないためには
まず自分の心を全面的に
“武装解除”しなければならない

そう、はじめから白旗をあげることにある

はじめから倒れているならば
あなたは倒されることはない

立っているからこそ倒されるのであって
倒されそうになるがゆえに
ますます抵抗してしまうんだ

ところが大半の相手は
別にあなたを倒そうなんてしているわけではない

あなたがはじめから立っているから
つまりありのままにみようとしている相手を
“否定”しているから
あなたが勝手に戦っているにすぎない

もちろんなかには
あなたを倒そうとする相手もいるだろう

だがそういう相手であるなら
なおのこと
はじめから倒れていればいいんだよ

 

リアルな喜びを感じること

さて上でも話したように
この話を取り違えてならないのは

はじめから白旗をあげているから
じゃあ議論をするなとか
自分の考えを述べてはならないとか
そういうことではなく

むしろはじめから白旗をあげているからこそ
対話を自然に楽しむことができる
ということにある

なぜ自然に楽しむことができるのかといえば
あなたはなんの偽りもなく
ありのままの己を表現するからだ

それは”ペース”を失っているのに
調子よく話せているというあの自己欺瞞ではない

「ありのままのあなた」からは
これまで実際にみてきたものや聞いたもの
直に触れてきたものや感じてきたもの
語られるだろう

それらはあなたがしてきた本当の体験であり
相手はそんな「本当のあなた」を知りたいんだ

だがまさにそれこそが
私たちが”一者のうち”に
無数の泡のように現れている理由であって
つまり他者との交流という”夢”を
大きなひとりの実在が楽しんでいる大枠がある

そしてその偽りのないリアルな喜び
また新しい”夢”の素材となっていくんだ

だから自然な交流をしたあとのあなたは
とても清々しい気分になってるだろうし
もっとたくさん人々と関わっていきたいと
そこに楽しみや喜びをみつけるだろう

それは古い夢が終わり
新しい夢が描かれているということだ

もう気づいてるかもしれないが

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