ずっと守られていたことを知る

仏教は釈迦が説いたものがずっと続いていると思われているが、そうではなく、後の仏教徒たちによって釈迦の教えを基に様々なアレンジが施されてきた。

実際釈迦の導きは一般の世俗からすればあまりにストイックであり(まず「生活を捨てて出家せよ」が最初のハードル)、また彼自身は仏像のような偶像崇拝、そして教えを書物として残すことも禁じた。

それは、己の「外側にあるもの」を頼みの綱として生きてしまうからだ。

たとえそれがどれほど神がかっているようにみえても「神がかってみえている」という連関のなかで現れているにすぎない。その崇高だったものは、世間に流されて刻々と変化する己の価値観によって、やがてくだらないものとなり果てる。

つまり富や地位、また頼もしいはずの人生の伴侶、さらにはどれほどの素晴らしい教えであれ、それ自体に振り回されてしまって不安は残されたまま、いつまで経っても平穏には到達しない。

だから大事なのはそうした「常に変容し続ける表面世界」を見破ること、そしてそれを見破っていった最後に残る「揺るぎないもの」が何であるのかに気づくこと、この2つが釈迦の教えの根本にある。雲が去った後の、”ずっとそこにあった青空”を知るというわけだ。

自然の恵み

というわけで「生活を捨てて出家せよ」という題目を釈迦は与えるわけだが、そもそも出家するという概念自体が表面世界の産物であり、つまり彼はそこに二重の意味ダブルミーニングを持たせていることが明らかになる。

つまり、”出家”とは現実に巻き込まれていることから脱せよということだから、日々会社に通い、必要なものを買ってきて生活していてもよいのであり、出家僧が街路に立ってお布施をもらって生活することと、仕事をして給料をもらうことが「イコール」であることに気づけるならば、”見かけの現実”の向こうにある「大いなる循環」に己は腰掛けているのである。

しかしながら世間に巻き込まれて生きている人々は、そもそも巻き込まれているなかでその真理を解釈しようとするので、結局は物理的な手段によって、つまり強制的に出家し、強制的に街路に立って施しを受け、強制的に大いなる流れに気づけるように仕向けなければならない。

信念を書き換えるためには、強硬的な手段に出なければならないわけだ。

知識だけでは何も開かない

だがそうなると生活を捨てることが可能だったひとたち、またそうせざるを得ない人たちだけが、どうにか最初のハードルをクリアする権利を持っていることになる。よって大半は人間幻想の渦のなかで置き去りとなる。

とはいえ最初の関門を乗り越えたところで、釈迦がプロヴァイドする無理難題はその後も険しい山脈のように立ち並んでいるのであって、そもそも”出家をした自分”に自惚れている限りは、次のハードルを超えることはできない。現代も同じだね、スピリチュアルを知ったからといってそれは何でもないのだ。

ゆえに修行僧は何年もそこで「悟り」を求め続けるのである。

引き継がれたのは”ユーモア”

ところが釈迦の死から数百年の後に仏教徒たちの解釈が分裂することになる。書物も絵も像も何もないから口伝だけが手掛かりであるけども、伝言ゲームのようにだんだん中身が変わってくる。

ただでさえパラドックスを仕掛けまくる釈迦の教説が、ますます意味不明なものに成り果ててしまい、出家しようがしまいが、ごくわずかな者たちだけが理解する秘儀となってしまった。仏教が当初目指していた「どんな者であれ仏であること」を広く伝えるという本来の目的から離れている。

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