チャンスをつかむ

前回は才能について話したけども
今回は「チャンスをつかむ」とは
正しくはどういうことなのかをみてみよう

才能を伸ばすとは
長所を伸ばすことではなく
短所を伸ばすことであり

短所とは無理のない己の要素だから
それゆえあなたは
自然に伸びることができる

もちろん手記でも話したように
短所にもいろいろあるから
そのなかで輝くものを見定める必要があるけども

いわば己の特異な部分こそが
物事への原動力となるわけだね

 

1

さて「チャンスをつかむ」と聞けば
目的が実現するためのきっかけを
あちこち動き回ってつかみ取るみたいな
そんなイメージがあるだろうけども

それだとなんだか
疲れ果ててしまいそうな感じがしないかな

その通りで
これも才能の話と同様に
“真逆”なんだ

たとえば山で遭難したとき
あくまで一般論としてだが
「無駄に動き回らない」ことが鉄則だといわれる

それに加えて
待っているあいだに救援があったら
すぐに知らせられるように
「準備を整えておくこと」もそうだね

準備を整えるとは
体力や気力を温存しておくこと
食糧を可能な限り長持ちさせること

また、じっと待ちながら周囲の状況を観察したり
万が一のときにどのように行動するかを
あらかじめ想定しておくことなど

つまり積極的な立場ではなく
受身的な立場で万全を期すことにある

 

2

ところで遭難というのは
なにも山や海に限ったことではない

たくさんの人々が暮らす街のなかで
あなたは常に遭難してるのではないかな

日々の出来事のなかで
先がどうなるかわからないという不安に
いつも脅かされている

厄介なのは救助をされたくても
それは家族や友人の助けを求めてるのではない
ということだ

人生そのものがもっと好転して
安心に満ちれるような
そんな大きな力の到来をあなたは待ち焦がれている

たしかに「チャンスをつかむ」といえば
人生がステップアップするものを
手にすることだといえばそうだが

しかしそれは見方を変えてみれば
遭難してるのとなんら違いはないはずだ

いかなるオファーがあっても
すぐに対応できるように
準備を怠らず事前に完璧にしておかねばならず

それはもちろん
あなたがどのように遭難していて
どのような救助を待っているかで
準備の内容は様々あるだろう

技術を磨いていることや
身だしなみをいつも綺麗にしていること

そして山での遭難と同じく
その心身の状態を長らく保てるように
慎ましく節度を心掛けていること

過信や運任せで
あてもなく山をさまようのではなく
周囲を観察してより安全な場所や
必要なものが得られる場所があれば
そこに移動してみたり

手持ちのものや
その場で拾い集めたものを役立てたりして
救助(チャンス)を待ち続ける

つまり「チャンスをつかむ」ためには
常に身軽であることが最も肝心となるわけだ

 

3

さてチャンスの意味が
あなたのなかで変化してきたと思うが
しかし疑問するだろう

自分から足を運んで
その目標に張り付いてなければ
希望してるのとは違う救助しか
やってこないのではないかとね

たしかにそうだ

プロミュージシャンを目指してるのに
そんな節度ある暮らしのあなたの姿をみて
まったくの異業種への誘いがやってきたりする

だがねその異業種に乗っかっても
また仮にプロミュージシャンになったとしても
やはりそこでもあなたは遭難してるんだ

その観点からすれば
積極的に遭難を脱しようと動き回っても
“同じ”であり

むしろそれは冒頭でも話したように
常に疲れ果てて
万全な準備を整えていることが難しくなる

もちろん異業種を断ってもよいし
それに拾われてもいい

いずれにせよ
“私たち”は遭難してるのだからね

 

4

だけどもあるとき気がつくだろう

積極的に探し回っても
受身でじっと待っていても
どちらにしても
救助は”向こう”からやってくるわけで

チャンスをつかむためにヘトヘトに走り回って
そうしてようやく「つかめた」と喜んでるのは

実は自分が暗闇のなかに手を突っ込んで
つかみ取ったのではなく

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