なぜ「この現実」なのか?

街を歩けばこれだけの人間がいるのに
どうして人生で出会う人は
数えるほどしかいないのだろう?

たとえば小学校の頃の担任の先生を
思い出してみれば
どうしてその人だったのだろうか?

他の人でもよかったはずだ

だがあなたにとって
クラスの担任はあの人だった

この「ありのままの事実」を洞観してみること

思考に頼らず直観で
その本質を見通してみることだ

するとこの世のすべては
己の観念のなかでしか
現れていないことがわかる

言いかえれば
人との出会いというのは
その人を創り出したということである

 

だがここで話は終わらない

なぜならそもそもなぜ
「その人を生み出したのか」が不明だからだ

それには2つの起源(物事のおこり)がある

そしてこれらの起源によって
この洞察がいわゆる独我論ではなく
すなわち
自分が創り出した世界だからといって
故意に他人を傷つけてはならない
ということの理由がみえてくる

 

1.

さてまず「起源その1」だが

それは私とあなたが
こうして交流していることにある

ここで大事なのはあなたは私を
ひとりの人間としてみており
そして人間同士の交流をしているが
私の世界からは
あなたの世界でいうところの
コーヒーを淹れている様子が
ただあるだけかもしれないということにある

もちろん「本当は〇〇なのだよ」とは
話すことはできない
あなたの世界を私は覗けず
私の世界をあなたは覗けないからだ

こうして書かれている文書もそうだね
あなたには私からのメッセージにみえる
私が文字を書いていると思っている
だが私はコーヒーを淹れている

しかしこれらの表現はまだ
人間中心主義的なバイアスに囚われている

つまり私はあなたの世界でいう
布団の埃かもしれないし
そもそも
見聞きできるものではないかもしれない

だがそれでもこうして
「交流」をしている

ここが大事なのだ

 

2.

「交流さえも己が創り出した幻想なのでは?」

確かにその出来事が「何であるか」は
あなたの創り出した幻想
すなわち「あなたの世界の翻訳」となる

翻訳した結果に私が現れているわけだ

だけどもその「翻訳”される“もの」
つまり翻訳以前にある触発は一体なんだろう?

たとえば外国人の友人が何かを伝えているとき
あなたは彼女のメッセージを
日本語に置き換えてそのヴィジョンを
己の脳内に創り出す

諸外国の言語同士は決してイーブンの
関係でないことは以前にも話したが
同様に彼女が発するすべては
あなたの世界観に置き換えられる

つまり「形のない”意志”」だけが
やりとりされるのであって
形としてみえているものは
彼女とあなたとで異質のものだ

だから翻訳される以前にある「何か」
があるからこそ

あなたが私をひとりの人間として
みているように

あなたがそれを澄んだ青空として
みているように

あなたがそれを懐かしい思い出として
みているように

あなたは「この世界」として
翻訳することができるのである

だからひとつめの起源とは
あなたが己の世界を創り出すためには
その原動力となる「源泉」があるということ

その源泉はあなたの現実を超えた世界で
様々に変化し続けている

その変化が先の外国人の友人の
「思い」にあたるものであって
あなたはその思いを受け取って
己の現実の光景に置き換える

あなたの現実を超えた世界とは
それは私の現実を超えた世界でもある
私もそれを翻訳してみているからだ

だから「源泉」は共通しているといえる

そしてその共通するものを
お互い翻訳によって
各々が見るべき姿や形に変えているのである

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