初心者と上級者
どんな物事であれ
最初はみんな初心者であり
中級者を経て上級者となる
共通していることは
初心者はまだ何も知らず
だからこそ
その物事の”特徴的なところ”を
捉えるのがうまいということだ
特出しているところや
それまでと比べて変化のあるところ
もちろん知識も経験もないので
なぜそうなっているかの理由や根拠はないが
だがまさにそれゆえに
「ここはちょっと違う」と純粋に受け取れる
そしてまた初心者その物事で
失敗や挫折をまだ経験したことがないゆえに
現在うまくいってなくても不安にならない
「きっとこういうものだろう」という
おおらかな姿勢や寛容さがある
それは自分がまだ初心者であり
本当のところをまだ何もわかっていないはずだ
という自認があるからだ
だからたとえばある程度の損失が出たとしても
これは必要なコストなんだと潔く割り切れる
なぜならそれをマスターしたとき
そのコストを膨大に上回る利益が得られるのだと
純粋に信じているからだ
そしてまた
少しの達成や上達を大いに喜ぶだろう
たとえそれが他者と比較して
ささやかなことであっても
そんなことは無関係に喜び満たされる
地獄への迂回
さていつかその人は中級者になる
だけどもそれは
あまり輝かしいものではない
積み重ねてきた経験ゆえに
その物事への解像度が増して
初心者のときのように
あるがままの特徴を見いだせなくなるからだ
つまりあらゆる部分が
なんらかのシグナルを発しているようにみえて
すべてが特徴的にみえる
そうして方向性を見失いがちとなる
また失敗や挫折を繰り返してきたことで
初心者の頃には存在しなかった恐怖を
常に抱えているようになる
だから少しの損失にも怯え
まったく寛容ではなく
かつて夢見ていた素晴らしいゴールも
いまや確信が持てなくなっている
さらには少しの上達や実現など
無意味に思えているがために
とにかく大きく進もうとしてしまう
だがまさにそれゆえに
常に壁にぶつかり前に進まず
むしろ損失ばかりが増えていくことになる
つまり中級者というのは
ほとんど喜びを感じることができない
たまに満たされるのは
時々大きな達成を得られたときだが
しかし単発のそれは
日頃積み重なって膨らみ続けている損失を
超えることができない
損失とは金銭や時間や労力のコストだったり
他者との摩擦で積み上げられた負の感情だったり
いろいろあるけども
つまり方向性を見失い
おおらかに構える姿勢もないがために
やればやるだけ損失が増えていくばかりで
するとやはり大きな満足を求めざるを得なくなり
しかしそれはほとんどうまくいかない
そんな悪循環にはまりこむ
たしかにその物事に向き合っているが
しかしその物事をあるがままに捉えているのではなく
その物事の上に独りよがりな枠組みを被せて
その近視眼的な枠組みの世界を
さまよっているようなそんな状態にある
それは物事全体を自分の都合の良いように
変えようとしていたわけだが
当然それはうまくいかない
だがその人はそのことに気づいていないがゆえに
苦しみに耐え続ける日々となる
いわば中級者とは地獄の時期といえる
真のマスターへ
やがてその人は
Notes あなたの世界, あるがまま, いまここ, 不幸をやめる, 人生, 人間関係, 他者, 充実感, 心, 生き方
関連記事
- PREV
- 完全なるもの