それは不幸ではなかった
誰であれ人生でこれ以上ないほどの
きわめて猛烈な不幸に遭遇したりする
もちろん不幸の度合いは
その人の主観的な絶対値であるから
たとえば不幸な自分からみて
「私の親は不幸なんか味わってない」と
言ったところで
そのような比較で測れるものではない
つまり当人なりの八方塞がりな苦難を
どこかで味わってきたわけだ
私もまた私なりの地獄をみてきた
それはあまりに恐ろしくて
苦しみもがく動物のように
その恐ろしさを乗り越えようといていたが
私からすべてを奪おうとしている死神に狙われ
いったい何の選択肢があるというのか
抵抗すればするほど
悪い深みにはまり続けてやがて体も壊して
朝をただ絶望として迎えるだけの毎日が
長いあいだ続いていた
だがそんななかで私は
自らの強さに出会うことになった
強さといっても
何かの卓越したスキルが備わったわけでも
対人関係や世渡りがうまくなったわけでもない
むしろ体が衰えていくにつれて
以前できていたことができなくなり
社会の不安定な波に誰もが疲弊し
寛容にみてくれていた人たちもそうではなくなって
より厳しい事態になっていた
Notes あるがまま, カルマ, ゼロ, 不幸をやめる, 執着, 幸せになる, 心, 現実, 神秘, 苦悩, 観念
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