かくれんぼ
あなたが開放的な気分で公園を歩いているとき
足元の草むらに心の視線を合わせてみれば
そこに守られた世界がみえてくるかもしれない
もちろん虫たちは天敵から逃れたり
寒い冬を越したりして生きてるけども
しかし土から生まれて土に還っていく彼らは
生きてる間もその土とずっと共にある
天へ向かって伸びる無数の茎や草葉
木漏れ日や新鮮な空気にあふれたそこは
彼らにとってまさにパラダイスであり
だがそこが楽園だという本当の意味は
その生命世界こそが己の生命そのものなのだと
彼らが気づいているからだ
ゆえに彼らが本当の意味で「身を隠す」とき
それは単に物陰に隠れることなのではなく
ここにある大きな流れとひとつに溶け合うことにある
むしろそれこそが”生命の実感”だろう
だから見かけの姿が何度移り変わっても
彼らは一度も死んだことはなく
永遠の安らぎと共にある
同じく森の動物たちや海の魚たち
空の鳥たちもそうだね
リスは森とひとつになる
そのときリスは森に身を隠す
姿はそこにあれど
彼はそこにはいない
ゆえに彼は恐れることなく
自由に生きている
森というひとつの生命世界が
彼の生命そのものであり
そして森の”生命活動”が
彼の日々の活動として現れている
かくれんぼ
では人間はどうだろう?
たとえばオフィス街やデパートなど
往来する人々のなかで
私は「隠れること」ができる
スクランブルの真ん中であれ
そこに身を隠すものがなくても
私は隠れられる
つまり私は
ここに満ちている生命全体と
共に在ることができる
そのとき私は”誰の目”にも映らない
だがこの意味は
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