不倫映画から生き方を学ぶ

ドラマや映画は人間の心理をいかにして描くかにかかっているけども、それが成功している”良作”からはいろんな学びを得ることができる。

特に”日常的”な私たちの心の動揺や不信感をうまく描いているのは、不倫や浮気をテーマにした作品にある。

不倫や浮気に無縁の人であっても、そうした作品で描かれる”心の様子”は、日頃の一般的な人間関係や、また自分自身のあり方を見つめなおすための材料で溢れているからだ。

 

燃えさかるハート

さて、洋画・邦画にしても有名な作品は山ほどあるが(列挙してみれば膨大な数になってしまったので割愛するが)、たとえばリチャードギアとダイアンレインが共演した「運命の女(2002)」もまた優れた作品だといえる。

原題のUnfaithful(不貞)の通り、r18指定であり、エロティックなシーンが多いから家庭で観るときは注意が必要だが、ウィキペディアなどで公開されている程度のざっくりしたあらすじを書いておくと、

──

中年夫婦と8歳の息子の家庭は穏やかな日々を送っていたが、ある日、妻は偶然に若いフランス人の青年と出会い、たちまち一線を超えてしまう。

──

という内容にある。

多くのレビューにもあるように、優しい夫と可愛い子どもを抱えている妻が自ら青年を求めにいく姿には驚くばかりだが、さすがダイアンレインの出世作だけあって、生々しい不貞妻を見事に演じきっている。

人生になんの不満もないはずの奥さんの憑かれたような姿に驚く視聴者が多いのは、それはもちろん”当事者”ではないからだ。

浮気にかぎらず、恋にしろ他の欲望にしろ、心に火がつけば私たちはみんな同じようになる

 

突然の悪天候みたいに

ではこの作品から何を学べるのかといえば、”本書的”には青年の肉体に翻弄されながらも自責の念に追い詰められる妻のほうではなく、そんな妻への不信感を抱えた夫の心の動揺や行動についてにある。

円満な家庭が舞台ゆえ、夫の激しい心境は想像に容易いだろう。

会社経営者である夫はいつからか妻を疑いはじめる。その不信感は仕事中にも露わとなり、疑心暗鬼な心を抑えきれない。たとえば部下が他社の人と親しくしていることに訝しさと怒りを向けて解雇にしてしまう。

しかしその部下というのは、カフェで社長の妻とフランス人青年が親しくしているところを目撃しているが、理不尽に解雇されて怒り浸透になっても、仄めかすだけでそのことを直接には述べなかった。

つまり信頼関係を崩しているのは社長のほうであるという示唆が暗に描かれている。

そうして生真面目な夫は動揺し続け、いよいよ探偵に妻を尾行させて情事を知ってしまい、やがて大きな物事に展開していく。

どうなるのかは鑑賞に任せるが、結局最後は「なにもしなければよかった」という夫の後悔が漂うことになる。

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