観照

壁に「さよなら」と書かれていた

壁の左から何センチ
下から何センチのところに
独特な筆体で書かれていた

これを書いた人は
何らかの考えがあったのだろうが
あなたには知るよしもない
落書きという結果が
そこにあるだけだからだ

ポジティブな「さよなら」なのか
ネガティブな「さよなら」なのか

この話の意味するところは
この世界で”思考を持つ”のは
あなただけだということ

その文字自体に思考はないからだ

ただその位置に言葉だけが残されている
あなたの受け取る印象で
その言葉の「意味」が決まる

この世に現れる他者とは
まさに壁の落書きそのもの

決まった時間
決まった場所で
決まった言動を起こしていく

あなたが”見たとき”には
すでにそこにそうある

つまりこの世界で「生きている者」とは
あなたしかいないということだ

あなた以外はすべて
「残された落書き」にすぎない

やがてあなたは
「自分」という落書きさえも
眺めていたことに気付くだろう

 

 

 

 


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