青空

この現実は夢である。聖書も仏典も世界中にある言い伝えやら寓話も、最近じゃ科学でさえも、何を見てもそのように書いてある。ならもう現実に苦しむ必要はないのだろうか。いいやそうはいかない。

問題なのはその夢の中に自分がいるということだ。つまり夢から覚めたら「あなたはいない」ということだからだ。

さあそれが理解できない。理解のしようがない。理解すべき自分がいないということをどうやって理解するのか。だから「現実は夢」なんて苦し紛れの気休めにしか受け取れない。どんなに敬虔なクリスチャンでさえも、それをうまく説明できない。

その通りだ。言葉にすればすべて失敗する。私も同じ。だから行間を伝えなければならない。つまり言葉と言葉の隙間、物と物のあいだ、すなわち生と死の向こう側を、言葉で伝えられないものを言葉で伝える必要がある。骨の折れる仕事となる。

1.

あまり馴染みのないひとにとって聖書はそのまま読んでも退屈なファンタジーでしかないだろう。だがあれは読むコツがあって、書かれていることは人間ひとりのことなのだ。つまり全ページに渡ってあなたのことだけが書かれている。

数々の登場人物やいろいろな場所が出てくるけども、人も場所もそこで起こる出来事も、すべてが「あなたのこと」だ。あなたの心のなかの葛藤が描かれている。それを頭に入れながら読めば、現実の創造および破壊のためのマニュアルとなる。

たとえば映画を観ていてそのストーリーの進行が、なぜか自分の心の成長を見ているような、啓発されているような気分になったりしたことはないかな。話の内容自体はまったく関係がないのにね。

聖書はそれと同じパターンが組み込まれている。仏典やヒンドゥーの聖典などもそうだ。そこで語られていることとは、あなたの精神を現実から分離させて、魂を本来の状態へ導くための「たとえ話」が綴られている。

2.

つまり聖書が結局なにを言っているのかといえば「この世のすべては聖書である」ということだ。

映画も音楽も、コーヒーの香りも、パフェの甘さも、スケジュール帳の筆跡も、信号が赤に変わることも、誰かとの会話も、すべてが「聖書」なのである。

だからこの現実が「聖書のなか」であることを悟るには、人間関係やら生活苦やらで現実に固執して囚われるのではなく、逆にどんどん上昇していかなくてはならない。

空を見上げれば雲の切れ間に青空が見えるが、青空というものが実在しているわけではない。その実体のない青空と呼ばれているものが聖書の誘っている「方向」となる。その明確な領域を言っているのではなく、その方向だけを示しているのだ。

それが言葉で伝わらないものを言葉で伝えているということである。

3.

冒頭のとおり、この「現実という夢」のなかに自分がいる、つまりいまのあなたでいうならば、これを読んで「現実が夢であると思っている自分がすでに夢の中にいる」というパラドックスにある。それはまるで右足で右足を踏もうしているようなもどかしさがある。

悟りを求める探求者が探求を続ける限り、ずっと迷宮をさまようというのはそういうことからきている。だから探求をやめたときに「そういえばあの頃は探求していたな」という「求めずして悟りを手にしている」というオチとなるわけだ。

そうして小さな悟りを手にしているときは、また別の悟りを探しているということであり、その繰り返しの果てに「思い出」がどんどん描かれていく。

さて今回はこの「思い出」がキーワードとなる。

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